「脂肪吸引をしたお腹が凸凹になっている写真を見て、不安になった」
「触ると波打っているような仕上がりになると聞いた」
腹部の脂肪吸引を検討している方から、たびたびいただくご相談です。
脂肪吸引後に凹凸が生じることはあります。特に術後早期にみられる凹凸には、腫れや拘縮など、回復の途中で一時的に現れるものが含まれます。
一方で、完成後まで残る凹凸もあります。これは、脂肪を吸引したあとに残した脂肪層の厚みが、場所によって違っていることが主な原因です。
この記事では、凹凸が起こる主な原因を整理したうえで、当院が凹凸を防ぐために行っている設計についてご説明します。
この記事でわかること
✅ 腹部に凹凸が出やすい理由
✅ 凹凸の主な原因
✅ 当院が凹凸を防ぐために行っていること
✅ 凹凸が出やすい方の傾向
✅ 術後に凹凸が気になったときの対応
腹部は、凹凸が目立ちやすい部位です
平面に近く、面積が広い部位です
腹部は、二の腕や太ももと違って、平面に近い形をしています。
曲面であれば、多少の厚みの差は輪郭の中に紛れます。しかし平面では、わずかな高低差がそのまま影として表れます。
さらに腹部は面積が広いため、吸引する範囲も広くなります。広い面を一定の厚みに保つことは、狭い範囲を整えることより難しくなります。
光の当たり方で見え方が変わります
平らな面は、光の当たり方によって陰影が強調されます。
真上から照明が当たったとき、横から光が入ったとき、鏡の前に立ったとき。同じお腹でも、条件によって凹凸の見え方は変わります。
「昨日は気にならなかったのに今日は目立つ」と感じることがあるのは、このためです。
姿勢によっても変わります
立ったとき、座ったとき、前かがみになったとき。腹部は姿勢によって皮膚の張り方が変わります。
座って前かがみになると、皮膚がたわんで凹凸が目立って見えることがあります。これは表面の状態そのものが変わったわけではありません。
腹直筋の形が影響することもあります
もともと腹直筋には、腱画と呼ばれる横方向の区切りがあります。
脂肪が薄くなると、この構造が皮膚の表面に現れることがあります。これは吸引の不均一とは別にみられる、もともとの解剖学的な構造です。
凹凸の主な原因
「凸凹になった」と表現される状態には、原因の異なるものが含まれています。
① 拘縮による一時的な凹凸
最も多いのがこのパターンです。
拘縮は術後2週間頃から感じ始める方もいらっしゃいますが、多くは1か月前後から現れ、1〜3か月ほど続きます。皮膚や皮下組織が一時的に硬くなり、触ると硬い部分と柔らかい部分ができます。
腹部は面積が広いため、硬さのむらを感じやすくなります。上腹部は硬いのに下腹部は柔らかい、片側だけ突っ張るなど、部位によって違いを感じることがあります。
拘縮は術後1〜3か月ほど続きながら徐々に改善し、完成の目安である3〜6か月に向けてなじんでいきます。
この時期の凹凸で仕上がりを判断する必要はありません。
▶ 腹部脂肪吸引のダウンタイムはいつまで?腫れ・内出血・拘縮の経過を解説
② 吸引が不均一だったことによる凹凸
残した脂肪層の厚みが、場所によって違っている状態です。
カニューレを同じ方向にだけ通すと、通った部分だけが多く吸引され、溝のような凹みができます。また、皮膚のすぐ下の層まで吸引すると、皮膚が深部の組織と癒着し、引きつれたような凹みになります。
このパターンは、拘縮による凹凸とは異なり、時間の経過だけでは改善しにくいという特徴があります。
③ 吸引範囲の境目にできる段差
吸引した部分と、していない部分の境目に生じる段差です。
たとえば、下腹部だけを吸引して上腹部に厚みが残ると、その境目に線のような段差ができることがあります。腹部から腰にかけても同様です。
範囲そのものは適切でも、辺縁の処理が急であれば段差になります。
④ もともとあった皮膚表面の凹凸
脂肪吸引を受ける前から、皮膚の表面に細かな凹凸がある方もいらっしゃいます。いわゆるセルライトと呼ばれる状態です。
これは脂肪そのものというより、皮下脂肪を区画している線維性の壁によるものです。この壁が皮膚を内側へ引っ張ることで、表面に小さな陥凹ができます。
脂肪吸引で減らせるのは、この区画の中に入っている脂肪です。皮膚を引っ張っている線維性の構造そのものがなくなるわけではありません。
そのため、セルライトによる表面の凹凸そのものを改善する治療ではありません。一方で、脂肪というクッションが減ることで、もともとあった凹凸が目立つようになることもあります。
表面の細かな凹凸そのものの改善を目的とされる場合、脂肪吸引は適した方法ではありません。
⑤ 皮膚の余りによる凹凸
脂肪を減らした後に皮膚が十分に縮まないと、表面にたわみやしわが生じ、凹凸のように見えることがあります。
特に皮膚のハリが低下している方、妊娠・出産や大幅な減量を経験した方では起こりやすくなります。
この場合は脂肪層の厚みのむらではなく、皮膚の余りが主な原因です。対応の考え方も異なります。
▶ 腹部脂肪吸引で皮膚はたるむ?皮膚が余る原因と改善方法を医師が解説
当院が凹凸を防ぐために行っていること
凹凸は、術後に治すものではなく、手術の設計と操作で避けるものだと考えています。
皮膚のすぐ下の脂肪層は残します
皮下脂肪は、深い層と浅い層に分けて考えられます。
当院では主に深い層を吸引し、皮膚のすぐ下にある浅い脂肪層は、表面のなめらかさを保つために必要な厚みを残します。浅い層を過剰に吸引すると、皮膚の引きつれや凹み、血流障害などの原因となる可能性があります。
当院では「どれだけ吸うか」ではなく「何ミリの層を、どれだけ均一に残すか」から設計しています。この考え方が、凹凸を避けるうえで最も重要だと考えています。
複数の方向からカニューレを通します
一方向からだけ吸引すると、カニューレが通った経路に沿って溝ができます。
そのため、複数の切開部から、交差する方向にカニューレを通していきます。同じ場所を異なる角度から通過させることで、一方向の操作で生じる偏りを打ち消していきます。
腹部では、おへそ、鼠径部、必要に応じてバストの下のラインに切開を置きます。切開位置を決める際に、傷跡の目立ちにくさだけでなくカニューレの操作性を考慮しているのは、このためです。
範囲の辺縁は、吸引量を段階的に減らします
吸引する範囲の縁で急に操作をやめると、そこに段差ができます。
そのため、辺縁に向かって吸引量を徐々に減らし、周囲との移行がなだらかになるようにしています。
また、上腹部や側腹部に厚みが残っている場合には、下腹部だけでなく範囲に含めて設計します。境目そのものを作らないという考え方です。
手で触って厚みを確認しながら進めます
吸引した量を目安にするのではなく、皮膚をつまんで残っている脂肪層の厚みを繰り返し確認します。
腹部は面積が広いため、部位ごとに確認する必要があります。上腹部、下腹部、側腹部、腰では脂肪の付き方が異なり、残すべき厚みも変わります。
左右を比較しながら、体位を変えて形を確認します。腰まで範囲に含める場合には、手術中に体位を変えて吸引します。
MicroAireを主に使用しています
脂肪吸引の機器にはそれぞれ特性があります。
カニューレ先端が細かく往復運動するPALシステムは、術者による吸引操作を補助するシステムです。腹部のように範囲が広い部位でも、脂肪層の厚みを確認しながら操作しやすいという特徴があります。
ただし、脂肪量が多い場合には効率的な吸引が可能なQ-Leanを使用することもあります。機器そのものより、どの部位にどう使うかを判断することが重要だと考えています。
取り過ぎないことも予防のひとつです
「できるだけ多く取ってほしい」というご希望に沿って吸引量を増やすと、残る脂肪層が薄くなります。
層が薄くなるほど、わずかな厚みの差が表面に出やすくなります。取り過ぎは、たるみだけでなく凹凸の原因にもなります。
▶ 腹部脂肪吸引で皮膚はたるむ?皮膚が余る原因と改善方法を医師が解説
凹凸が出やすい方の傾向
皮膚のハリが低下している方
皮膚に弾力があれば、脂肪を減らした後も表面がなめらかに落ち着きやすくなります。
一方で、ハリが低下していると、下の層の状態が表面に出やすくなります。
もともと皮下脂肪が厚い方
脂肪が厚いほど、吸引量も多くなります。
減らす量が多いということは、残す層の厚みを一定に保つ操作もそれだけ難しくなるということです。
妊娠・出産や大幅な減量を経験した方
皮膚が大きく伸びた履歴がある方では、皮膚の縮む力が落ちていることがあります。
この場合、脂肪を減らした後に表面が整いにくくなることがあります。
すでに手術を受けている部位
一度脂肪吸引を受けた部位では、組織に瘢痕が生じています。
そのため、再手術や他院修正では、カニューレが均一に進みにくく、初回の手術より難易度が上がります。
当院でも他院で受けられた方のご相談はお受けしていますが、改善の見込みが乏しいと判断した場合には、その旨をお伝えしています。
腹部脂肪吸引をおすすめしない方
凹凸という観点から、当院では次のような場合に脂肪吸引をおすすめしていません。
- 「できるだけ多く取ってほしい」というご希望が強い方
- 皮膚のハリが大きく低下している方
- つまめる皮下脂肪が薄く、残せる層に余裕がない方
- すでに複数回の脂肪吸引を受けており、改善の見込みが乏しいと判断される方
- 表面の細かな凹凸そのものの改善を目的とされている方
- 完成までの経過を待つことが難しい方
脂肪吸引でなめらかな仕上がりを目指すには、残せる脂肪層に一定の余裕が必要です。その余裕がない状態で吸引すると、細くはなっても表面が整わないという結果になります。
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術後に凹凸が気になったときの対応
術後早期は経過を確認しながら判断します
術後1〜3か月は、拘縮や腫れの影響によって一時的な凹凸が現れやすい時期です。
この時期は硬い部分と柔らかい部分の差が大きく、最も凹凸を感じやすい時期でもあります。拘縮が改善するにつれて、目立たなくなっていくことが多くみられます。
ただし、急に腫れが強くなった場合、片側だけが大きく膨らんだ場合、赤み・熱感・強い痛みを伴う場合、液体がたまっているように感じる場合は、完成を待たずにご相談ください。
当院では術後1週間・1か月・3か月・6か月を目安に経過診察を行っています。気になる場合は、その都度お伝えください。
マッサージについて
自己判断で強くマッサージを行うことはおすすめしていません。
強い刺激は、かえって組織に負担をかける可能性があります。市販のマッサージ器具や美容機器の使用も同様です。
必要かどうか、開始する時期については、経過を確認したうえでご説明しています。
温熱・高周波などのケアについて
術後に、温熱や高周波のケアを検討される方がいらっしゃいます。当院ではこれらの機器を導入していないため、外部の施設を利用される方もいらっしゃいます。
受けること自体を止めているわけではありませんが、開始する時期は事前に経過診察でご確認ください。また、術後しばらくは吸引した部位の感覚が鈍くなっていることがあり、熱さを感じにくい状態では皮膚への負担につながる可能性があります。
施術を受ける際には、脂肪吸引後であることを必ずお伝えください。
なお、これらのケアが拘縮の改善を明確に早めることを示す十分な医学的根拠は、現時点では限られています。受けるかどうかは必須ではありません。
圧迫の継続について
圧迫は、腫れやむくみを抑え、皮膚と皮下組織がなじみやすい状態を保つためのものです。
最低1週間は24時間着用していただき、その後は通常2〜4週間、吸引量が多い場合には4週間程度が目安となります。経過によっては継続をご案内することがあります。
▶ 腹部脂肪吸引の圧迫着はいつまで必要?着用期間・過ごし方を医師が解説
完成後も残る場合
術後6か月を過ぎても凹凸が残る場合には、状態に応じて対応を検討します。
厚みが残っている部分がある場合には、追加の吸引で整えられることがあります。凹んでいる部分では、周囲とのバランスを調整する追加吸引や、脂肪を注入して補う方法などが選択肢となります。脂肪注入は当院でも対応は可能ですが、凹みの深さや範囲、周囲の皮膚の状態によって適応が異なります。
なお、当院ではMicroAireを使用した脂肪吸引について術後1年間の保証期間を設けており、仕上がりの凹凸についても、診察のうえ再施術の適応となるかを判断しています。判断を行うのは術後6か月以降です。手術日と比べて体重が増加していないこと、術後1年以内にお申し出いただくことが条件となります。
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すぐに相談した方がよい凹凸・腫れ
術後早期の凹凸には、腫れや拘縮による一時的なものが含まれます。
ただし、次のような場合は、完成時期まで待たずにご相談ください。
- 片側だけが急に大きく腫れてきた
- 腫れている部分に強い痛み、赤み、熱感がある
- 液体がたまっているように感じる、波打つ感覚がある
- 圧迫着の縁に沿って深い溝や皮膚の色調変化がある
- 傷口から膿や悪臭のある液体が出る
- 凹みが急に深くなった
状態によっては、血腫や漿液腫、感染、圧迫による皮膚トラブルなどを確認する必要があります。
「完成まで待つ」のは、経過として説明のつく凹凸に対してです。上記のような変化は、経過とは異なる可能性があります。
よくある質問
Q. 脂肪吸引をすると必ず凸凹になりますか?
必ずなるわけではありません。
術後1〜3か月は拘縮の影響で凹凸を感じやすい時期ですが、多くは時間の経過とともに改善します。完成後まで残る凹凸は、残した脂肪層の厚みの差や、皮膚の余りなどが原因となることがあります。
Q. 術後に触ると硬い部分と柔らかい部分があります。大丈夫でしょうか?
拘縮による経過であることがほとんどです。
脂肪を吸引した部位が修復される過程で、一時的に硬さのむらが生じます。腹部は面積が広いため、部位によって差を感じやすくなります。術後1〜3か月ほど続きながら、徐々になじんでいきます。
Q. 座ると凹凸が目立ちます
座って前かがみになると、皮膚がたわんで凹凸が目立って見えることがあります。
これは表面の状態そのものが変わったわけではありません。立った状態で確認していただくことをおすすめします。
Q. お腹に横線のような段差があります
腹直筋には、腱画と呼ばれる横方向の区切りがあり、脂肪が薄くなることで表面に現れることがあります。
一方で、吸引した層の厚みの差、癒着、圧迫着の食い込みなどによって横線状の段差が生じることもあります。
見た目だけでは判断できないため、線が強くなる、硬く引きつれる、時間が経っても改善しない場合は、診察で確認します。
Q. マッサージをすれば凹凸は改善しますか?
自己判断で強くマッサージを行うことはおすすめしていません。
拘縮による一時的な凹凸は、マッサージをしなくても改善していくことが多くみられます。一方、吸引が不均一なことによる凹凸は、マッサージで改善するものではありません。
Q. セルライトは脂肪吸引で治りますか?
改善するものではありません。
セルライトと呼ばれる表面の凹凸は、脂肪そのものではなく、皮下脂肪を区画している線維性の壁が皮膚を内側へ引っ張ることで生じています。
脂肪吸引で減らせるのは区画の中身であり、引っ張っている構造は残ります。そのため、脂肪が減った分、かえって陥凹が目立つようになることもあります。
Q. 凹凸ができた場合、修正できますか?
状態によって異なります。
厚みが残っている部分は、追加の吸引で整えられることがあります。凹んでいる部分そのものをさらに吸引しても改善しませんが、周囲とのバランスを調整する追加吸引や、脂肪を注入して補う方法などが選択肢となります。まずは完成を待ち、状態を確認したうえでご説明しています。
Q. 他院で受けて凹凸が残っています。相談できますか?
お受けしています。
ただし、一度手術を受けた部位は組織に瘢痕が生じているため、初回の手術より難易度が上がります。改善の見込みが乏しいと判断した場合には、その旨をお伝えしています。
まとめ
腹部は平面に近く面積が広いため、脂肪吸引のなかでも凹凸が目立ちやすい部位です。光の当たり方や姿勢によって見え方が変わることもあります。
ただし、術後に感じる凹凸の多くは、拘縮による一時的なものです。術後1〜3か月は硬さのむらが最も出やすい時期であり、完成の目安である3〜6か月に向けてなじんでいきます。
一方で、残した脂肪層の厚みが不均一な場合の凹凸は、時間が経っても改善しにくいという特徴があります。
だからこそ、凹凸は術後に治すものではなく、手術の設計と操作で避けるものだと考えています。皮膚のすぐ下の層を残すこと、複数の方向からカニューレを通すこと、辺縁で吸引量を段階的に減らすこと、そして取り過ぎないこと。これらはすべて、残す脂肪層の厚みを均一に保つための操作です。
細くすることと、表面をなめらかに保つことは、常に同じ方向を向いているわけではありません。どこで線を引くかを、あらかじめ共有しておく必要があります。
▶ 腹部脂肪吸引完全ガイド|ダウンタイム・費用・傷跡・効果を医師が解説
なめらかな仕上がりを重視される方へ
腹部の脂肪吸引で大切なのは、どれだけ脂肪を取るかではなく、どの層をどれだけ均一に残すかです。
残した脂肪層の厚みの差は、そのまま皮膚の表面に現れます。腹部は平面に近いため、この差が紛れにくい部位です。
当院では、皮下脂肪の厚みと皮膚の状態を確認したうえで、その方にとって安全に残せる層の厚みを判断しています。適応がないと判断した場合には、その旨もお伝えしています。
「細くすること」だけではなく、「表面をなめらかに保つこと」まで考えたうえで、その方に合った治療方針を説明いたします。
お腹についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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穴井 元康
IANA CLINIC
院長
経歴
2015年 Centre Hospitalier Universitaire Grenoble Alpes(フランス)
2016年 Mackay Memorial Hospital(台湾)
2017年 産業医科大学医学部医学科 卒業
国立病院機構九州医療センター勤務
2019年 トヨタ自動車株式会社 専属産業医
2020年 東北大学病院、東北労災病院 整形外科勤務
2021年 都内整形外科クリニック院長
2023年 大手美容クリニック勤務
2025年 韓国 LaPrin Plastic Surgery Fellowship
2025年 IANA CLINIC開院
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