「体重は落ちたのに、お腹だけ変わらない」
「痩せているのに、下腹だけ前に出ている」
「腹筋をしても、ぽっこりが消えない」
お腹の相談で来院される方から、よくいただくお話です。
お腹が出て見える原因は、一つではありません。皮下脂肪、内臓脂肪、姿勢、皮膚のたるみ、産後の腹直筋離開。それぞれ原因が違えば、必要な対応も変わります。
そして、このうち脂肪吸引で変えられるのは、皮下脂肪だけです。
この記事では、お腹だけ痩せない理由を整理したうえで、ご自身のぽっこりが何によるものかを見分ける方法と、脂肪吸引が向いている方の特徴についてご説明します。
この記事でわかること
✅ なぜお腹だけ痩せないのか
✅ お腹が出て見える4つの原因
✅ 皮下脂肪と内臓脂肪の違いと、自分でできる見分け方
✅ 痩せているのに下腹だけ出る理由
✅ 診察でエコーを使って確認していること
✅ 脂肪吸引が向いている方・向いていない方
なぜお腹だけ痩せないのか
部分痩せは起こりません
「お腹を細くするために腹筋をしている」という方は多くいらっしゃいます。
しかし、運動によって特定の部位の脂肪だけを減らすことはできません。腹筋を鍛えても、その上に乗っている皮下脂肪が優先的に減るわけではないためです。
腹筋を鍛えることでお腹まわりが引き締まって見えることはありますが、皮下脂肪そのものを部分的に減らすことはできません。
脂肪が減る順番は、選べません
全身の体脂肪が減れば、お腹の脂肪も減ります。
ただし、どの部位から減っていくかには個人差があります。顔や胸から先に落ちて、お腹が最後まで残るという方は少なくありません。
「これ以上体重を落としたくないのに、お腹だけ変わらない」という状態は、この分布の問題です。
そもそも、脂肪ではない場合があります
お腹が出て見える原因は、皮下脂肪だけとは限りません。
内臓脂肪、姿勢、皮膚のたるみ、産後の腹直筋離開。
これらが関わっている場合、体重を落としても、脂肪吸引を行っても、期待した変化にはなりません。
まずは、何が原因なのかを切り分けることが出発点になります。
お腹が出て見える4つの原因
① 皮下脂肪
皮膚のすぐ下につく脂肪です。指でつまむことができます。
脂肪吸引で減らせるのは、この脂肪だけです。ダイエットで落ちにくい部分的な皮下脂肪に対しては、部分的にアプローチできる方法になります。
② 内臓脂肪
腹筋より内側、内臓のまわりにつく脂肪です。
つまむことができず、脂肪吸引では取り除けません。お腹が張ったように前に出て、押しても硬く感じるのが特徴です。
内臓脂肪を減らすには、食事や運動を中心とした減量が基本です。体重や合併症によっては、医療機関での減量治療が選択肢となることもあります。
③ 姿勢
デスクワークなどで座っている時間が長い方では、骨盤の傾きが変化し、腰が反った姿勢になることがあります。
この状態では、下腹が前に押し出されて見えます。脂肪の量は変わっていなくても、立ち方によってお腹の見え方は変わります。
姿勢が主な原因である場合、脂肪吸引の対象にはなりません。当院では、その旨をお伝えしています。
④ 皮膚のたるみ・腹直筋離開
大幅な減量後や産後では、皮膚が伸びた状態で残っていることがあります。この場合、脂肪を減らすとかえってたるみが目立つことがあります。
また産後には、左右の腹直筋の間隔が開いた状態(腹直筋離開)が関わっていることがあります。腹直筋離開そのものは、脂肪吸引では改善できません。
▶ 産後のぽっこりお腹は脂肪吸引で治る?腹直筋離開について医師が解説
皮下脂肪と内臓脂肪の見分け方
ご自身である程度確認できる方法があります。
つまめるかどうか
立った状態で、おへその横の皮膚をつまんでみてください。
しっかりと厚みをつまめる場合は、皮下脂肪が主体である可能性があります。逆に、お腹は前に出ているのに、つまむと薄い場合は、内臓脂肪が主体である可能性があります。
仰向けになったときの変化
仰向けに寝てみてください。
皮下脂肪が主体の場合、脂肪は重力で横に流れ、お腹は平らに近づきます。内臓脂肪が主体の場合は、仰向けになってもお腹の張りがあまり変わりません。
触ったときの硬さ
皮下脂肪は柔らかく、指が入る感触があります。
内臓脂肪が多い場合、お腹の表面は張っていて硬く感じられます。
ただし、混在していることが多くあります
実際には、皮下脂肪と内臓脂肪の両方が関わっているケースが少なくありません。
どちらか一方だけということは、それほど多くありません。どの程度の割合なのかによって、脂肪吸引で変えられる範囲が変わります。
痩せているのに下腹だけ出る場合
体重は標準的、あるいはそれ以下なのに、下腹だけが前に出ている。このお悩みで来院される方は多くいらっしゃいます。
原因として考えられるものは、いくつかあります。
下腹部は皮下脂肪がつきやすい部位です。全身の体脂肪が少なくても、この部分にだけ厚みが残るという分布は珍しくありません。
姿勢の影響もあります。骨盤が前に傾いていると、下腹が前方に押し出されて見えます。
産後であれば、腹直筋離開が関わっていることがあります。筋肉の間隔が開いていると、腹圧によって前方への張り出しが生じます。
腹壁の支えが弱い場合もあります。痩せている方では、腹筋の緊張が弱く、内臓を支える力が落ちていることがあります。この場合、脂肪が少なくても下腹が前に押し出されて見えます。
体脂肪が少なくても、内臓脂肪が相対的に多い場合もあります。見た目の細さと内臓脂肪の量は、必ずしも一致しません。
これらは見た目だけでは区別が難しく、診察で確認する必要があります。
診察で確認していること
触診で、つまめる脂肪の厚みを確認します
まず、皮膚をつまんで皮下脂肪の厚みを部位ごとに確認します。
上腹部、下腹部、側腹部、腰では脂肪の付き方が異なります。どこにどの程度の厚みがあるかを把握することが、範囲を考える出発点になります。
エコーで、皮下脂肪と内臓脂肪の内訳を確認します
当院では触診に加えて、エコー(超音波診断装置)を使用しています。
体表から見た印象と、実際の皮下脂肪の厚みは一致しないことがあります。エコーで確認することで、お腹の膨らみが皮下脂肪によるものなのか、内臓脂肪によるものなのか、あるいは両方が関わっているのかを判断できます。
画像をご覧いただきながらご説明することもあります。ご自身の目で見ていただく方が、言葉で説明するより伝わりやすいためです。
姿勢も確認します
院長はもともと整形外科医として全身の解剖を学んできました。
骨盤の傾きや腰の反り方によって、お腹の見え方は変わります。脂肪の量とは別に、姿勢が影響している場合には、その旨をお伝えしています。
「ぺたんこ」を目指す場合について
診察で必ず伺うことがあります。どこまでを目標にされているかです。
脂肪吸引で変えられるのは、皮下脂肪の量です
脂肪吸引は、皮下脂肪を取り除いてお腹まわりのボリュームを減らす施術です。
内臓脂肪は取り除けません。そのため、内臓脂肪が多い状態では、皮下脂肪をすべて減らしてもお腹の張り出しは残ります。
完全に平らなお腹を目指す場合、脂肪吸引だけでは届かないことがあります。この点は、エコーの画像をご覧いただきながらご説明しています。
当院では腹壁形成術を行っていません
皮膚のたるみや腹直筋離開に対しては、皮膚を切除して腹壁を締める手術(腹壁形成術、いわゆるタミータック)があります。
当院では、この手術をメニューとしてご用意していません。
「今より減ればよい」のか、「平らにしたい」のか
このどちらなのかで、話が変わります。
今より減ればよいということであれば、脂肪吸引は選択肢になります。ただし、内臓脂肪が関わっている場合には、あわせて減量にも取り組んでいただく必要があります。
一方、完全に平らなお腹を目標とされている場合、脂肪吸引だけでは実現できないことがあります。その場合は、手術の前に何が必要かをご説明しています。
目標と、実際に得られる変化に大きな差がある状態で手術に進むことは、後悔につながります。
▶ 腹部脂肪吸引で後悔するケースとは?失敗を防ぐポイントを解説
脂肪吸引が向いている方
- おへその横の皮膚をつまむと、しっかりと厚みがある
- 体重を落としても、お腹まわりだけ残っている
- 仰向けになるとお腹が平らに近づく
- 皮膚のハリが保たれている
- 体重が安定している
- 目指す変化と、得られる変化の差を共有できる
これらに当てはまる方は、脂肪吸引による変化を期待しやすい傾向があります。
▶ 腹部脂肪吸引でどれくらい細くなる?効果や変化の目安を医師が解説
脂肪吸引をおすすめしない方
次のような場合には、当院では脂肪吸引をおすすめしていません。
- ぽっこりの主な原因が内臓脂肪である方
- 姿勢が主な原因である方
- 皮膚のたるみが主体の方
- つまめる皮下脂肪が薄い方
- 産後で、腹直筋離開の影響が大きいと判断される方
- 体重の増減が大きく、体型が安定していない方
- 完全に平らなお腹を目標とされていて、その実現が難しいと判断される方
- 妊娠中・授乳中の方
- 重篤な基礎疾患があり、手術が難しいと判断される方
BMIについて
当院では、仕上がりの予測や周術期の安全性を考えるうえで、BMI24未満を理想的な目安としています。
BMI24以上であっても一律に適応外とはせず、脂肪の付き方、皮膚の状態、基礎疾患、麻酔管理上のリスクなどを総合的に判断します。原則として、BMI30程度までを手術検討の目安としています。
適応がないと判断した方に、手術をおすすめすることはありません。
内臓脂肪が主体だった場合
診察の結果、内臓脂肪が主体と判断した場合には、その旨をお伝えしています。
減量が先になります
内臓脂肪は、食事や運動による減量で減らすことができます。
内臓脂肪は皮下脂肪と比べて、減量に反応しやすいとされています。体重が落ちれば、お腹の張り出しは変化していきます。
医療機関での減量治療という選択肢もあります
自己流の減量が続かない場合や、体重や合併症の状況によっては、医療機関での減量治療が選択肢となることがあります。
▶ 腹部脂肪吸引とGLP-1(医療ダイエット)はどっちが向いている?
減量後に、あらためて確認します
減量によって全体のバランスが変わると、残る皮下脂肪の量も見え方も変わります。
その段階で、あらためて脂肪吸引が必要かどうかを判断する方が、結果として満足度が高くなることがあります。
診察で終わりではなく、経過を見ながら判断していく形になります。
よくある質問
Q. 腹筋を鍛えればお腹は凹みますか?
腹筋を鍛えることで引き締まって見えることはありますが、その上に乗っている皮下脂肪が減るわけではありません。
特定の部位の脂肪だけを運動で減らすことはできません。
Q. 内臓脂肪は脂肪吸引で取れますか?
取れません。脂肪吸引で減らせるのは、皮膚の下につく皮下脂肪だけです。
内臓脂肪を減らすには、食事や運動を中心とした減量が必要です。
Q. 自分が皮下脂肪型か内臓脂肪型か、確実に分かりますか?
つまめるかどうか、仰向けで平らになるかどうかで、ある程度の目安はつきます。
ただし両方が関わっていることが多く、割合までは自己判断が難しいところです。
当院ではエコーで確認しています。
Q. 痩せているのに下腹だけ出ています。脂肪吸引できますか?
つまめる皮下脂肪があれば、選択肢になります。
一方で、姿勢や腹直筋離開が原因の場合は、脂肪を減らしても変化は限られます。
診察で原因を確認したうえでご説明しています。
Q. 姿勢を直せばお腹は凹みますか?
姿勢が主な原因であれば、立ち方や骨盤の傾きが変わることで見え方が変わることはあります。
ただし、脂肪の量そのものが変わるわけではありません。
姿勢と脂肪の両方が関わっていることもあります。
Q. まず痩せてから相談した方がいいですか?
全身の脂肪量が多い場合には、先に減量をおすすめすることがあります。
一方で、体重は標準的でお腹だけが気になるという方は、これ以上体重を落としても変化が限られることが多いため、脂肪吸引が選択肢となります。
どちらに当てはまるかは、診察でご説明しています。
Q. お腹を完全に平らにできますか?
脂肪吸引で変えられるのは皮下脂肪の量です。
内臓脂肪や皮膚のたるみが関わっている場合、脂肪吸引だけで完全に平らにすることは難しくなります。
診察では、エコーの画像をご覧いただきながら、どこまで変えられるかをご説明しています。
Q. 診察を受けたら必ず手術をすすめられますか?
そのようなことはありません。
原因が内臓脂肪や姿勢にある場合、脂肪吸引では期待した変化が得られません。
適応がないと判断した場合には、その旨をお伝えしています。
まとめ
お腹だけ痩せない理由は、一つではありません。
運動で部分痩せは起こらないこと、脂肪が減る順番は選べないこと。これに加えて、そもそも原因が皮下脂肪ではない場合があります。内臓脂肪、姿勢、皮膚のたるみ、産後の腹直筋離開。それぞれ必要な対応が違います。
脂肪吸引で変えられるのは、皮下脂肪の量だけです。
ご自身のお腹のぽっこりが何によるものかは、つまめるかどうか、仰向けで平らになるかどうかで、ある程度の目安がつきます。ただ、実際には複数の要素が混ざっていることが多く、割合までは見た目では分かりません。
当院では触診に加えてエコーを使用し、皮下脂肪と内臓脂肪の内訳を確認しています。画像をご覧いただきながら、どこまでが脂肪吸引で変えられる部分なのかをご説明しています。
そして、どこまでを目標にされているかを伺います。今より減ればよいのか、平らにしたいのか。この違いによって、必要なことが変わるためです。
▶ 腹部脂肪吸引完全ガイド|ダウンタイム・費用・傷跡・効果を医師が解説
お腹の原因を確かめたい方へ
お腹が出て見える原因は、脂肪だけとは限りません。内臓脂肪、姿勢、皮膚のたるみが関係していることもあり、それによって必要な対応は変わります。
当院では、触診とエコーで皮下脂肪と内臓脂肪の内訳を確認したうえで、脂肪吸引で変えられる部分と、変えにくい部分をご説明しています。適応がないと判断した場合は、その旨もお伝えしています。
ご自身のお腹の脂肪の内訳は、診察で確認できます。
お腹についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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