「お腹の脂肪吸引を受けたいけれど、傷跡は残るのだろうか」
水着や下着になる機会を考えると、傷跡が気になる方は多いのではないでしょうか。
腹部の脂肪吸引では、脂肪を吸引するために数ミリ程度の切開が必要です。ただし、切開部はできるだけ目立ちにくい位置を選び、時間の経過とともに目立ちにくくなっていくことが多くみられます。
この記事では、傷跡ができる位置と大きさ、時期ごとの経過、傷跡を目立ちにくくするためのケアについてご説明します。
この記事でわかること
✅ 腹部脂肪吸引で傷跡ができる位置と大きさ
✅ なぜその位置を選ぶのか
✅ 傷跡の経過(時期別)
✅ 腹部の傷跡で気をつけたいこと
✅ 傷跡を目立ちにくくするためのケア
✅ 傷跡が気になる場合の対応
腹部脂肪吸引の傷跡はどこにできるのか
傷の大きさは数ミリ程度です
腹部の脂肪吸引では、細い吸引管(カニューレ)を挿入するために、数ミリ程度の切開を行います。
皮膚を大きく切開する施術ではないため、創部は小さく、適切に治癒が進めば時間の経過とともに目立ちにくくなっていきます。
切開する位置
当院では、次の位置に切開を置いています。
おへそ
へそのくぼみの中に切開を置きます。もともとくぼんでいる部位のため、傷跡が紛れやすい位置です。
鼠径部(そけいぶ)
脚の付け根のしわに沿った位置です。下着や水着で隠れる範囲にあたります。
バストの下のライン(必要に応じて)
上腹部まで含めて吸引する場合には、バストの下のライン(乳房の下の溝)に切開を追加することがあります。この位置も、下着で隠れやすい範囲です。
傷の数は範囲によって異なります
吸引する範囲によって、切開する箇所の数は変わります。
下腹部のみであれば少なく、上腹部や側腹部、腰まで含める場合は追加になることがあります。腰を含める場合には、背面側にも切開を置くことがあります。
診察の際に、どこに何箇所の切開を行うかをご説明しています。
なぜその位置を選ぶのか
目立ちにくさだけでは決められません
傷跡が目立たないことは重要ですが、切開位置は傷跡の見えにくさだけで決めているわけではありません。
脂肪を吸引する際は、カニューレを皮下でさまざまな方向へ動かしながら、脂肪の層を均一に減らしていきます。そのため、目的の範囲へ無理なくカニューレが届く位置を選ぶ必要があります。
腹部は面積が広いため、この点は特に重要になります。
位置を優先しすぎると仕上がりに影響します
傷跡の見えにくさだけを優先して切開位置を決めると、カニューレが届きにくい部分が生じます。
その結果、吸引が不均一になり、左右差や表面の凹凸として現れる可能性があります。腹部は平面に近い形をしているため、残した脂肪層の厚みの差が表面に出やすい部位です。
傷跡と仕上がりの両方を考えて設計します
当院では、傷跡の目立ちにくさ、カニューレの操作性、仕上がりのラインの3つを考慮して切開位置を決めています。
おへそと鼠径部を基本とするのは、この3つを満たしやすい位置だからです。おへそは体の中心にあり、そこから上腹部・下腹部・側腹部へ向かってカニューレを届かせることができます。鼠径部からは下腹部と側腹部へアプローチできます。
傷跡の経過
術後〜1週間|傷が閉じるまで
切開部を縫合し、術後約1週間で抜糸を行います。
この時期は創部に赤みやかさぶたがみられることがあります。まだ傷が安定していないため、強くこすったり、不必要に触れたりしないようご注意ください。
シャワーは術翌日から可能です。創部も泡でやさしく洗浄し、流水で洗い流してください。
洗浄後は水分を十分に拭き取り、新しい保護テープへ貼り替えてください。
ただし、創部の状態によってはケア方法を変更することがあります。診察時の指示を優先してください。
1週間〜1か月|赤みが出る時期
抜糸の時点では創部の表面は閉じていますが、傷跡の内部では治癒が続いているため、赤みや硬さが残ることがあります。
この時期は、傷跡が硬く感じられたり、盛り上がって見えたりすることもありますが、多くは治癒の過程でみられる変化です。
当院では、創部の保護のためにテープ固定をご案内しています。1日1回、シャワーの際に貼り替えていただきます。期間は約2週間を目安に、経過に応じてご説明しています。
1〜3か月|色素沈着が目立ちやすい時期
赤みが徐々に落ち着く一方で、色素沈着として茶色く残ることがあります。
この時期は紫外線の影響を受けやすいため、日焼け対策を続けることが大切です。
3〜6か月|赤みや色味が徐々に落ち着く時期
傷跡は徐々に成熟し、赤みや色味が落ち着いて周囲の皮膚になじんでいきます。
この頃には目立ちにくくなる方も多くみられますが、傷跡が完全に成熟するまでには6か月以上、体質によっては1年程度かかることがあります。
腹部の傷跡で気をつけたいこと
腹部の傷跡には、他の部位とは違う条件がいくつかあります。
おへその傷は、湿りやすい部位です
へそはくぼんでいるため、汗や水分がたまりやすく、乾きにくい構造になっています。
シャワーの後は、清潔なガーゼやタオルで水分をやさしく拭き取ってください。湿ったままにすると、治癒が遅れたり、においや炎症の原因になったりすることがあります。
なお、へその中を綿棒などで強くこすることは避けてください。
へその創部については、テープを貼るより清潔を保って乾かす方が適していることもあります。状態に応じてご案内しています。
鼠径部の傷は、下着の縁が当たります
鼠径部の切開は、下着や水着で隠れる位置にあります。
一方で、下着の縁やゴムが創部に当たると、摩擦の刺激になります。術後しばらくは、縁が創部に当たりにくい下着を選んでいただくと安心です。
また、圧迫着の縁が創部に食い込む場合には、位置を調整してください。
▶ 腹部脂肪吸引の圧迫着はいつまで必要?着用期間・過ごし方を医師が解説
腹圧がかかると、創部が引っ張られます
腹部は、咳やくしゃみ、いきむ動作などで腹圧が上がります。
このとき、創部にも張力がかかります。咳やくしゃみの際に痛みを感じる場合は、清潔な衣類やタオルの上から手を添えて軽く支えると、楽になることがあります。
傷口を直接強く押さえることは避けてください。
便通を整えておくことも、いきむ動作を減らすうえで役立ちます。
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妊娠線がある場合
産後などで妊娠線がある方では、その部分の皮膚は真皮の構造が変化した状態です。
切開部が妊娠線と重なる位置になるかどうかは、脂肪の分布や妊娠線の範囲によって異なります。診察の際にご説明しています。
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傷跡が目立ちやすい方の傾向
傷跡が残りやすい体質の方
肥厚性瘢痕やケロイドができやすい体質の方は、傷跡が赤く盛り上がったり、落ち着くまでに時間がかかったりすることがあります。
過去に手術やけがで傷跡が目立ちやすかった経験がある方は、カウンセリング時にお伝えください。
創部への刺激が続いた場合
傷口を頻繁に触る、かさぶたを無理にはがす、指示より早くテープ固定をやめるなどの行為は、治癒を妨げる可能性があります。
腹部では、下着や圧迫着の縁が繰り返し当たることも刺激になります。
紫外線を浴びやすい環境の方
傷跡は治癒した後もしばらく紫外線の影響を受けやすい状態です。
術後早い時期に紫外線を浴びると、色素沈着が生じたり、赤みが長引いたりする原因となることがあります。
腹部は普段は服で覆われている部位ですが、水着になる機会がある場合は注意が必要です。
傷跡を目立ちにくくするためのケア
テープ固定
腹部の創部には、圧迫着や下着の縁が当たります。当院でご案内しているのは創部保護を目的としたテープで、この摩擦から創部を守ることが主な目的です。傷跡治療に用いるシリコーンテープとは、目的も使用期間も異なります。
当院では、約2週間のテープ固定を基本としています。1日1回、シャワーの際に貼り替え、創部を清潔に保ってください。
ただし、すべての方が同じではありません。創部が湿りやすい場合、滲出液がみられる場合、テープによるかぶれや赤みがある場合には、貼付を中止したり、方法を変更したりすることがあります。
特におへその創部はくぼんでいて乾きにくいため、湿りやかぶれがみられる場合には、一時的にテープを中止することがあります。
なお、テープを長く貼り続けることが傷跡の仕上がりを良くするとは限りません。むしろ、かぶれによる炎症は色素沈着の原因になります。
経過を確認しながら、その方に合った方法をご案内しています。
紫外線対策
傷跡が成熟していく術後数か月は、紫外線対策を続けることが大切です。
色素沈着を避けるという点では、テープなどのケアよりも紫外線対策の方が確実な手段だと考えています。
水着になる機会がある場合は、日焼け止めを使用するか、創部を覆うようにしてください。
保湿
傷が閉じた後は、保湿によって皮膚の乾燥を防ぐことも傷跡のケアにつながります。
ただし、術後すぐは創部が完全に治癒していないため、自己判断でスキンケア用品を使用せず、医師の指示に従ってください。
傷跡ボトックス
傷跡が広がりやすいと考えられる場合の選択肢として、ボツリヌストキシン製剤を用いる方法があります。
皮膚には常に張力がかかっており、傷口が引っ張られることで傷跡が広がりやすくなることがあります。手術と同時に注射することで、この張力を和らげ、傷跡への負担を減らすことを目的とした予防的な治療です。
傷跡が気になる場合の対応
術後早期は経過を確認しながら判断します
術後間もない時期の赤みや硬さは、治癒の過程でみられることが多くあります。
そのため、この時期は経過をみることが基本となります。多くの場合、時間の経過とともに落ち着いていきます。
肥厚性瘢痕・ケロイドについて
傷跡が赤く盛り上がる状態には、肥厚性瘢痕とケロイドがあります。
肥厚性瘢痕は傷の範囲内で盛り上がる状態で、時間の経過とともに改善することも少なくありません。一方、ケロイドは傷の範囲を超えて周囲へ広がるように盛り上がることが特徴で、自然に改善しにくい傾向があります。
どちらも体質が関係することがあり、過去に傷跡が盛り上がった経験がある方は、事前にお伝えください。
治療について
傷跡の盛り上がりが続く場合や、肥厚性瘢痕・ケロイドが疑われる場合には、ケナコルト(トリアムシノロン)の局所注射による治療を行っています。
傷跡の状態や経過を確認したうえで、治療が必要かどうかを判断します。術後間もない時期は経過をみることが多いため、すぐに治療を行うわけではありません。
気になる場合は、自己判断で市販薬などを使用せず、経過診察時にご相談ください。
受診をおすすめする症状
赤みや腫れが強くなってきた
一度落ち着いた赤みや腫れが再び強くなる場合や、日を追うごとに悪化する場合は、通常の経過とは異なる可能性があります。
傷口から分泌物が出る
少量の透明な浸出液が出ることはありますが、黄色や緑色の膿が出る場合や、悪臭を伴う場合は感染が疑われます。
特におへその創部は湿りやすいため、においや分泌物に気づきやすい部位です。早めにご連絡ください。
傷跡が盛り上がってきた
治癒の過程で一時的に硬くなることはありますが、赤みを伴って盛り上がりが強くなる場合や、かゆみ・痛みを伴う場合は、一度診察を受けることをおすすめします。
傷口が開いてきた
まれに、創部への摩擦や張力、感染などによって傷口が開くことがあります。
この場合は自己判断で処置せず、速やかにご連絡ください。
よくある質問
Q. 傷跡は完全に消えますか?
完全に何もなかった状態になるわけではありません。
ただし、切開部は数ミリ程度と小さく、へそのくぼみや鼠径部のしわなど目立ちにくい位置を選んでいるため、日常生活で気にならない程度まで改善する方が多くみられます。
Q. 水着になっても目立ちませんか?
鼠径部の切開は、下着や水着で隠れる位置にあります。おへその切開は、くぼみの中に紛れやすい位置です。
ただし、術後しばらくは赤みが残るため、気になる場合はハイウエストの水着などで調整していただくと安心です。
Q. 抜糸は必要ですか?
必要です。当院では、術後約1週間を目安に抜糸を行っています。
抜糸自体は短時間で終わり、強い痛みを伴うことはほとんどありません。
Q. おへその傷はどのようにケアすればいいですか?
シャワーの後は、清潔なガーゼやタオルで水分をやさしく拭き取ってください。
へそはくぼんでいて乾きにくいため、湿ったままにしないことが大切です。ただし、中を綿棒などで強くこすることは避けてください。
湿りやすい方では、テープを貼らずに清潔を保つ方が適していることもあります。診察時にご案内しています。
Q. 傷が痒いのですが大丈夫ですか?
傷が治る過程で軽いかゆみを感じることは珍しくありません。多くは時間の経過とともに落ち着きます。
ただし、かゆみとともに赤みや腫れが悪化している場合や、傷口から分泌物が出ている場合は、感染などの可能性もあるためご相談ください。
かゆみがあっても掻いたり強くこすったりすると、傷跡が目立ちやすくなる原因となります。
Q. 傷跡が残りやすい体質かどうか分かりますか?
ある程度は予測できますが、完全に予測することはできません。
過去の手術やけがで傷跡が赤く盛り上がったことがある方、肥厚性瘢痕やケロイドになったことがある方は、傷跡が目立ちやすい傾向があります。
カウンセリングでは、これまでの傷跡の経過について確認し、必要に応じて傷跡ボトックスなどの選択肢を説明することもございます。
Q. テープはいつまで貼りますか?
当院では約2週間を基本とし、1日1回、シャワーの際に貼り替えていただいています。
テープは、圧迫着や下着の縁による摩擦から創部を守ることが主な目的です。長く貼り続けるほど傷跡が良くなるというものではありません。
ただし、創部が湿りやすい場合やテープによるかぶれがある場合には、中止したり方法を変更したりすることがあります。おへその創部のように乾きにくい部位では、貼らずに清潔を保つ方が適していることもあります。
経過を確認しながらご案内していますので、診察時の指示を優先してください。
Q. 帝王切開の傷がありますが、影響しますか?
過去の手術の傷がある場合、その周囲は組織が変化していることがあります。
切開位置やカニューレの操作に影響することもあるため、手術歴については診察時にお伝えください。
まとめ
腹部の脂肪吸引では、おへそのくぼみや鼠径部のしわなど、目立ちにくい位置に数ミリ程度の切開を行います。
傷跡は術後しばらく赤みが残りますが、多くの場合は3〜6か月かけて赤みや色味が徐々に落ち着きます。ただし、最終的になじむまでにはさらに時間がかかることがあります。
治り方には個人差があり、体質や紫外線、術後のケアによって経過は異なります。特に紫外線対策は、色素沈着を避けるうえで大切です。
腹部の傷跡には、他の部位とは違う条件もあります。おへその創部は湿りやすく、鼠径部の創部には下着の縁が当たります。また、腹圧がかかる動作では創部が引っ張られます。これらを知っておくと、術後の過ごし方が変わります。
なお、切開位置は傷跡の見えにくさだけでなく、カニューレの操作性や仕上がりのラインも考慮して決めています。傷跡と仕上がりは、どちらか一方だけを優先できるものではありません。
▶ 腹部脂肪吸引完全ガイド|ダウンタイム・費用・傷跡・効果を医師が解説
術後の経過でご不安がある方へ
当院では、術後1週間・1か月・3か月・6か月を目安に経過診察を行い、傷跡の状態も含めて確認しています。
傷跡が気になる場合や、通常の経過かどうか判断に迷う症状がある場合は、自己判断せずご相談ください。
状態に応じて、治療についてもご説明しています。
腹部脂肪吸引をご検討中の方や、傷跡について詳しく知りたい方は、お気軽にご相談ください。
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TEL:082-298-0505
受付時間 10:00〜18:30
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穴井 元康
IANA CLINIC
院長
経歴
2015年 Centre Hospitalier Universitaire Grenoble Alpes(フランス)
2016年 Mackay Memorial Hospital(台湾)
2017年 産業医科大学医学部医学科 卒業
国立病院機構九州医療センター勤務
2019年 トヨタ自動車株式会社 専属産業医
2020年 東北大学病院、東北労災病院 整形外科勤務
2021年 都内整形外科クリニック院長
2023年 大手美容クリニック勤務
2025年 韓国 LaPrin Plastic Surgery Fellowship
2025年 IANA CLINIC開院
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