「お腹の縦のラインを出したい」
「トレーニングを続けているのに、腹筋が浮き出てこない」
こうしたご相談に対して、当院ではアブクラックス形成をご案内することがあります。
アブクラックス形成は、脂肪の量を減らす施術ではありません。残す脂肪の厚みに差をつけることで、腹直筋の輪郭を影として浮かび上がらせるデザイン吸引です。
ただし、すべての方に行える施術ではありません。適応の条件が厳しく、そして技術的な難易度が通常の脂肪吸引とは大きく異なります。
この記事では、アブクラックス形成が何をする施術なのか、通常の脂肪吸引と何が違うのか、そしてどのような方に適しているのかについてご説明します。
この記事でわかること
✅ アブクラックス形成とは何をする施術か
✅ 通常の腹部脂肪吸引との違い
✅ 適応の条件と、なぜ厳しいのか
✅ 浅い層を扱うことの難しさ
✅ 完成までの経過と、変化の持続について
アブクラックス形成とは
影をつくる施術です
お腹には、もともと腹直筋という筋肉があります。
その中央を縦に走る白線(linea alba)、外側の輪郭をなす半月線(linea semilunaris)、そして筋肉を横に区切る腱画(tendinous intersections)。これらは誰の体にもある構造です。
アブクラックス形成は、この構造の上に乗っている脂肪の厚みに差をつけることで、輪郭を影として見えるようにする施術です。
医学的には、このような腹直筋の輪郭を強調するデザイン吸引は、高精細脂肪吸引(High-definition liposuction)の一つに含まれます。
筋肉を作る施術ではありません。もともとある構造を、見えるようにするものです。
腹部脂肪吸引とは、目的が異なります
通常の腹部脂肪吸引は、皮下脂肪の量を減らして、お腹まわりのボリュームとラインを整える施術です。
アブクラックス形成は、量を減らすことが目的ではありません。どこを何ミリ残すかによって、表面に陰影を作ることが目的です。
同じお腹の手術ですが、目指しているものが違います。
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通常の脂肪吸引と、何が違うのか
扱う層が違います
皮下脂肪は、深い層と浅い層に分けて考えられます。
通常の脂肪吸引で主に扱うのは深い層です。皮膚のすぐ下にある浅い層は、表面のなめらかさを保つために必要な厚みを残します。
アブクラックス形成では、この浅い層に意図的に手を入れます。輪郭を出したい線に沿って浅い層を薄くし、その周囲は厚めに残す。この差が影になります。
「取る」のではなく「残す」で決まります
当院では通常の脂肪吸引でも「どれだけ吸うか」ではなく「どれだけ均一に残すか」を設計しています。
アブクラックス形成では、この考え方がさらに厳密になります。均一に残すのではなく、場所ごとに意図した厚みの差を作る必要があるためです。
線の部分は薄く、筋腹の上は厚く。その差が数ミリ単位で、しかも左右で対称でなければなりません。
余裕が数ミリしかありません
浅い層は、もともと厚みのある層ではありません。
皮膚の直下には、表面のなめらかさや血流を保つために必要な脂肪を残す必要があります。ここを削りすぎると、皮膚が深部の組織と癒着し、波打ったような表面不整(ウォッシュボード変形)が生じます。皮膚の血流が障害され、色素沈着や、まれに皮膚の壊死につながることもあります。
つまり、彫るべき深さと、越えてはならない深さの差が、わずかしかありません。
やり直しがききません
脂肪は、取ってしまえば戻せません。
通常の脂肪吸引であれば、量が足りなければ追加できます。しかしアブクラックス形成で線を深く彫りすぎた場合、その凹みを埋めることは容易ではありません。
一度出た表面の不整は、時間の経過では改善しにくいという特徴があります。
この施術の難しさは、失敗が表面にそのまま、しかも長期にわたって残ることにあります。
適応の条件
アブクラックス形成は、希望すれば受けられる施術ではありません。適応の条件があります。
つまめる脂肪の厚みが、最も重要です
判断の基準になるのは、BMIではなく、皮膚をつまんだときの厚みです。
つまんだ厚みが1〜2cm程度で、皮膚の質が良好な方が、最も適応が良いとされています。
この範囲より厚い場合には、まず全体の脂肪量を減らしてから、あらためて陰影を作る段階に進みます。逆に薄すぎる場合には、影を作るための厚みの差そのものが作れません。
BMIの目安
体脂肪が少ないほど、線は明瞭に出ます。
当院では一つの目安として、BMI21程度までを適応の範囲としています。より明瞭なラインを目指す場合には、BMI18〜19台の方の方が結果は出やすくなります。
ただし、これは目標とすべき数値ではありません。無理な減量をしてまで目指すものではなく、現在の体格の中でどこまでの陰影が可能かを判断する材料です。
腹直筋が触れることが前提です
影は、筋肉の凹凸に沿って作ります。
そのため、腹直筋がある程度発達しており、触れて位置が分かることが前提になります。筋肉の輪郭が不明瞭であれば、どこに線を引くかが決まりません。
日常的にトレーニングをされている方の方が、条件としては適しています。
皮膚の質
皮膚のハリが保たれていることも条件です。
妊娠線が広範囲にある方、大幅な減量歴があり皮膚が伸びている方では、脂肪を減らしても皮膚が追随しません。線を作っても、たるんだ皮膚の上では意図した陰影になりません。
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女性の場合、「割れた腹筋」は目指しません
深く彫るほど良いわけではありません
アブクラックス形成には、陰影の強さに幅があります。
男性のボディビルダーのような明瞭な区画を作ることも、技術的には可能です。しかし女性の場合、そこまで深い陰影は、体全体のバランスの中で不自然に見えることがあります。
報告されている満足度の傾向としても、女性では極端な definition よりも、中程度の陰影の方が受け入れられやすいとされています。
目指すのは、引き締まって見えることです
当院で女性の方にご案内しているのは、腹直筋の区画をはっきり出すことではありません。
中央の縦のラインが自然に見え、脇腹から腹部への移行がなめらかで、全体として引き締まって見える状態です。
「割れて見える」ことと「きれいに見える」ことは、必ずしも同じではありません。
ゴールを先に共有します
どの程度の陰影を目指すかは、診察の段階で共有しておく必要があります。
深く彫るほどリスクは上がり、後戻りもできなくなります。ご希望と、安全に得られる結果に差がある場合には、その旨をお伝えしています。
リスクと、起こりうること
浅い層を扱う施術であるため、通常の脂肪吸引とはリスクの性質が異なります。
表面の不整
浅い層を削りすぎた場合、皮膚が深部と癒着し、波打ったような凹凸が生じます。
この表面不整は、時間の経過で改善しにくいという特徴があります。彫った線が深すぎる場合、周囲との移行が急な場合にも同様のことが起こります。
色素沈着
浅い層への操作は、皮膚の色調に影響することがあります。
一時的な色素沈着は比較的多く報告されており、多くは時間の経過とともに落ち着いていきますが、期間には個人差があります。
皮膚の血流障害
皮膚のすぐ下には、皮膚を養う細かな血管の網があります。
浅い層を過剰に扱うと、この血流に影響し、まれに皮膚のトラブルにつながることがあります。
左右差
陰影は、左右対称であることが前提です。
もともと腹直筋の形や位置には左右差があります。皮下脂肪の厚みにも差があります。完全な左右対称にすることはできません。
予防のために行っていること
これらを避けるために、当院では次のことを行っています。
皮膚の直下に必要な脂肪を残すこと。細径のカニューレを用いること。カニューレの吸引孔を皮膚側に向けないこと。一点にとどまらず、交差する方向から均一に操作すること。そして線の周囲を段階的にならし、急な段差を作らないこと。
深く彫ることより、どこで止めるかの方が難しい施術です。
完成までの経過
硬さの経過
術後2〜3週頃は、組織が硬く感じられる時期です。
その後、4週以降からまだらに柔らかくなり始め、6〜8週頃には全体として軟化してきます。3か月頃には、通常に近い触り心地に近づいていきます。
陰影の見え方
腫れが残っている時期は、作った陰影が見えにくくなります。
浮腫の影響で、日によって線の強弱が変わることもあります。朝と夕方で見え方が違うということも起こります。
完成の目安
術後3か月は、大きな腫れや硬さのピークを越えた段階です。この時点で、おおよその方向性は判断できます。
ただし、微妙な左右差や線の強弱は、その後も変化します。実務上の完成は術後6か月頃とお考えください。
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圧迫について
アブクラックス形成では、陰影を作った部分の形を保つため、通常の脂肪吸引よりも圧迫の管理が重要になります。
着用期間や方法については、経過を確認しながらご案内しています。
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変化はずっと続くのか
体重が増えると、陰影は崩れます
アブクラックス形成で作るのは、脂肪の厚みの差です。
体重が増えれば、残っている脂肪細胞が大きくなります。薄く残した部分も厚く残した部分も同時に厚くなるため、その差が埋まり、陰影は見えにくくなります。
内臓脂肪が増えれば、お腹全体が前に押し出されるため、なおさら分かりにくくなります。
これはアブクラックスに限りません
体重が増えれば形が変わるという点は、腹部の脂肪吸引全般に共通します。
ただ、アブクラックス形成は数ミリの厚みの差で成り立っているため、影響が出るのが早くなります。
体重の維持が前提の施術です
そのため、術後も体重を維持していただくことが前提になります。
もともとトレーニングを継続されている方が適応として適しているのは、線が出やすいというだけでなく、術後の体重管理という点でも条件が合うためです。
アブクラックス形成をおすすめしない方
当院では、次のような場合にアブクラックス形成をおすすめしていません。
- つまんだ厚みが3cmを超える方
- 妊娠線が広範囲にある方、皮膚のたるみが強い方
- 腹直筋の輪郭が触れにくい方
- BMIが21を大きく超える方(当院の目安による)
- 体重の増減が大きく、体型が安定していない方
- 術後も体重を維持することが難しいと考えられる方
- 「できるだけ深く彫ってほしい」というご希望が強い方
- 妊娠中・授乳中の方
- 重篤な基礎疾患があり、手術が難しいと判断される方
つまんだ厚みが2〜3cm程度の方については、まず通常の脂肪吸引で全体の量を減らし、その後にあらためて陰影を検討するという段階を踏むことがあります。
適応がないと判断した方に、手術をおすすめすることはありません。
費用
アブクラックス形成は、腹部脂肪吸引のオプションとしてご案内しています。
陰影を作るには、まず全体の脂肪の量と厚みを整える必要があります。そのため、腹部脂肪吸引の費用に加えて、アブクラックス形成の費用が必要となります。
| メニュー | 通常価格 | モニター価格 |
|---|---|---|
| アブクラックス形成 | 330,000円 | ― |
| 腹部全体セット(上腹部+下腹部+側腹部) | 542,000円 | 406,500円 |
| 上腹部 | 248,000円 | 186,000円 |
| 下腹部 | 248,000円 | 186,000円 |
| 側腹部 | 248,000円 | 186,000円 |
| 腰 | 248,000円 | 186,000円 |
※料金は税込です。 ※オプション:MicroAire脂肪吸引(体)165,000円/Q-Lean脂肪吸引(体)110,000円
麻酔は静脈麻酔と局所麻酔(チュメセント麻酔)を併用します。施術時間は範囲によって異なります。
術後の診察は、術後1週間・1か月・3か月・6か月を目安に行っています。
よくある質問
Q. 腹筋が割れていなくても線は出ますか?
腹直筋の輪郭が触れることが前提となります。
アブクラックス形成は、もともとある筋肉の凹凸に沿って陰影を作る施術です。筋肉の輪郭が不明瞭な場合、どこに線を引くかを決められません。
Q. 脂肪吸引だけでは線は出ませんか?
通常の脂肪吸引でも、脂肪が薄くなることで腹直筋の輪郭がうっすら見えてくることはあります。
ただし、それは全体を均一に薄くした結果として現れるものです。意図して陰影を作るのがアブクラックス形成であり、精度が異なります。
Q. 体重が増えたらどうなりますか?
陰影は見えにくくなります。
アブクラックス形成で作っているのは脂肪の厚みの差です。体重が増えると全体の脂肪が厚くなるため、その差が埋まります。
Q. トレーニングは続ける必要がありますか?
体重を維持していただくことが前提になります。
必ずしもトレーニングでなくても構いませんが、体重が大きく増えると陰影は崩れます。もともと運動習慣がある方の方が、術後の維持という点でも条件が合います。
Q. 男性のようにはっきり割れますか?
技術的には可能ですが、女性の場合、深い陰影は全体のバランスの中で不自然に見えることがあります。
当院では、区画をはっきり出すことより、自然に引き締まって見えることを目指してご案内しています。
Q. 失敗したらどうなりますか?
浅い層を削りすぎた場合、波打ったような表面の凹凸が生じます。この不整は、時間の経過では改善しにくいという特徴があります。
そのため、深く彫ることより、どこで止めるかを重視して設計しています。
Q. 完成までどのくらいかかりますか?
術後3か月で大きな腫れや硬さのピークを越え、おおよその方向性が見えてきます。
微妙な左右差や線の強弱はその後も変化するため、実務上の完成は術後6か月頃とお考えください。
Q. アブクラックスだけを受けられますか?
単独では行っていません。
陰影を作るには、まず全体の脂肪の量と厚みを整える必要があるためです。腹部脂肪吸引に追加するオプションとしてご案内しています。
まとめ
アブクラックス形成は、腹直筋の輪郭を影として浮かび上がらせるデザイン吸引です。筋肉を作る施術ではなく、もともとある構造を見えるようにするものです。
通常の脂肪吸引が深い層を扱うのに対して、この施術では浅い層に意図的に手を入れます。線の部分は薄く、筋腹の上は厚く。その差が数ミリ単位で、しかも左右で対称である必要があります。
そして、皮膚の直下には残さなければならない厚みがあります。彫るべき深さと、越えてはならない深さの差は、数ミリしかありません。削りすぎれば波打った表面不整が生じ、それは時間が経っても改善しにくいという性質を持ちます。
だからこそ、適応の条件は厳しくなります。つまんだ厚みが1〜2cm程度で、皮膚の質が良く、腹直筋の輪郭が触れること。BMIでいえば21程度までが目安です。
女性の場合、深い陰影が必ずしも良い結果とは限りません。当院では、区画をはっきり出すことより、自然に引き締まって見えることを目指しています。
深く彫ることより、どこで止めるか。この施術で最も難しいのは、そこだと考えています。
お腹のラインをデザインしたい方へ
アブクラックス形成は、すべての方に行える施術ではありません。皮下脂肪の厚み、皮膚の質、腹直筋の状態。これらの条件が揃って、はじめて成立します。
当院では、触診とエコーで皮下脂肪の厚みを確認し、腹直筋の輪郭を触れながら、どこまでの陰影が可能かをご説明しています。適応がないと判断した場合や、目指すものと実現できる範囲に差がある場合には、その旨もお伝えしています。
まずは、ご自身のお腹がどのような状態にあるかを確認することから始めていただければと思います。
お腹についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
お電話でのご予約・お問い合わせ
TEL:082-298-0505
受付時間 10:00〜18:30
※カウンセリング無料

穴井 元康
IANA CLINIC
院長
経歴
2015年 Centre Hospitalier Universitaire Grenoble Alpes(フランス)
2016年 Mackay Memorial Hospital(台湾)
2017年 産業医科大学医学部医学科 卒業
国立病院機構九州医療センター勤務
2019年 トヨタ自動車株式会社 専属産業医
2020年 東北大学病院、東北労災病院 整形外科勤務
2021年 都内整形外科クリニック院長
2023年 大手美容クリニック勤務
2025年 韓国 LaPrin Plastic Surgery Fellowship
2025年 IANA CLINIC開院
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