「脂肪吸引で凸凹になったという話を聞いて、不安です」
「太ももは範囲が広いから、ムラになりませんか」
「一度凸凹になったら、元に戻らないのでしょうか」
太ももの脂肪吸引を検討されている方から、こうしたご質問をいただきます。
太ももは吸引範囲が広く、内・外・前・後の4つの面が連続した部位です。そのため、面と面のつなぎ目で厚みに差が出やすいという条件があります。
一方で、術後に感じる硬さや凹凸のすべてが、そのまま残るわけではありません。時期によるものと、そうでないものがあります。
この記事では、凹凸が生じる原因と、当院で大切にしている考え方をご説明します。
この記事でわかること
✅ 拘縮による一時的な硬さ・凹凸
✅ 拘縮以外の原因で生じる凹凸
✅ 太ももで凹凸が表れやすい理由
✅ 凹凸を防ぐには「残す層」が重要であること
✅ 当院が採用しているSAFELipoの3段階
太もも脂肪吸引で凸凹になりますか
生じる可能性のある合併症の一つです。
ただし、術後に見られる凹凸のすべてが、最終的に残る凹凸ではありません。術後に感じる硬さや凹凸には、大きく分けて2つあります。
一つは、回復の過程で一時的に生じるもの。 時間の経過とともに和らいでいきます。
もう一つは、吸引した層の状態によるもの。 こちらは時間が経っても残ることがあります。
まず、この2つを分けて考える必要があります。
拘縮による一時的な硬さ・凹凸
術後しばらくすると、皮膚が硬くなる、内側からつっぱる、しこりのように感じる、といった変化が現れます。これを拘縮と呼びます。
術後2週間頃から感じ始める方もいらっしゃいますが、多くは1か月前後から現れ、1〜3か月ほど続きます。
この時期には、皮膚の表面が凹凸に見えたり、触ると硬い部分があったりします。多くは回復の過程で生じるもので、時間の経過とともに和らいでいきます。
この時期の見た目で、仕上がりを判断することはできません。
経過の時系列については、別の記事でご説明しています。
▶ 太もも脂肪吸引のダウンタイム|腫れ・内出血・拘縮の経過
なお、硬さや凹凸のすべてが拘縮とは限りません。痛みが急に強くなる、赤みや熱感が広がる、片側だけ腫れが増えるなど、通常の経過と異なる変化がある場合には、自己判断せずご連絡ください。
拘縮以外の原因で生じる凹凸
吸引した層が不均一になる場合
脂肪吸引では、皮下脂肪をすべて取り除くわけではありません。皮膚の下に、一定の厚みの脂肪を残します。
このとき、残った層の厚みが場所によって違うと、その差が皮膚の表面に表れます。
厚く残った部分は盛り上がり、薄くなった部分はへこんで見えます。これが凹凸として認識されます。
面の境目に段差ができる場合
太ももで特に注意が必要なのがこれです。
太ももは、内・外・前・後の4つの面が連続した筒状の形をしています。それぞれの面は独立しているわけではなく、境目なくつながっています。
一つの面だけを吸引すると、吸引した面と、していない面との間で厚みに差ができます。 その差が、段差やねじれたようなラインとして表面に現れることがあります。
例えば内ももだけを細くすると、前ももや裏ももとの境目に段差が生じることがあります。外ももだけを細くした場合は、張り出しの上下に段差が出ることがあります。
もう一つ注意が必要なのが、お尻と裏ももの境目です。この部分には、お尻と皮膚・筋膜をつなぐ線維性組織があります。必要以上に吸引すると、お尻の下縁を支える構造が弱くなり、ヒップラインが下がって見えることがあります。
皮膚が深部の組織に癒着する場合
皮膚直下の脂肪が部分的に薄くなりすぎると、治癒の過程で皮下組織の瘢痕化や深部組織との癒着が生じ、皮膚が引き込まれたように見えることがあります。
その結果、表面のへこみや、動かしたときに目立つ引きつれとして認識される場合があります。
そのため、皮膚直下の脂肪を過度に薄くせず、残す層の厚みをできるだけ均一に整えることが重要です。
太ももで凹凸が表れやすい理由
太ももは、脂肪吸引の中でも吸引範囲が広い部位です。
範囲が広いということは、均一に仕上げるべき面積が大きいということです。腹部や二の腕と違い、内・外・前・後の4面すべてを一続きで整える必要があります。
さらに、体位を変えながら手術を進めるため、前面と後面のつながりを、その場で同時に確認できないという条件もあります。
加えて、太ももは日常的に人目に触れる部位です。パンツやスカートのシルエットに影響するため、わずかな凹凸でも気づかれやすくなります。
太ももは、範囲の広さゆえに設計が結果を左右する部位です。
凹凸を防ぐには「取る量」だけでなく「残す層」が重要です
ここが、当院の脂肪吸引で中心に置いている考え方です。
脂肪吸引というと、「どれだけ取るか」に関心が集まりがちです。従来の脂肪吸引は、「脂肪を吸う」という操作が中心でした。
しかし、それだけでは太ももはきれいに仕上がりません。
吸引が終わった時点で、手術は終わりではありません。 当院では、残った脂肪層を均一に整える工程までを含めて一つの手術としています。
太ももで重要なのは、どれだけ脂肪を取るかではなく、どのような脂肪層を残すかです。当院では、吸引する前の設計の段階から「残す層」を決めています。
そしてもう一つ、太ももでは全周をひとつのユニットとして設計することが必要になります。面ごとに吸引量を決めるのではなく、目指すラインから逆算して、どの面をどこまで範囲とするかを決めます。
この考え方は、米国で体系化された脂肪吸引の手法であるSAFELipoをもとにしています。
当院が採用しているSAFELipoの3段階
SAFELipoは、米国の形成外科医 Simeon Wall Jr. 医師らが報告した、脂肪の分離・吸引・均一化を段階的に行う脂肪吸引の考え方です。
従来、脂肪吸引は「カニューレを入れて吸う」という一つの動作として捉えられてきました。SAFELipoが提示したのは、それを3つの段階に分け、それぞれ別の目的を持たせるという設計です。
太もものように範囲が広い部位では、この段階分けが意味を持ちます。
① Separation(分離)
最初に、吸引を行わずにカニューレを動かし、脂肪組織をほぐしていきます。
この段階では、脂肪を吸引しません。
皮下脂肪は、均一なかたまりとして存在しているわけではありません。線維性の組織が網目のように走り、その中に脂肪が入り込んでいます。十分にほぐさず吸引すると、周囲の組織ごと引き抜く力がかかります。
先にほぐしておくことで、次の工程での操作を行いやすくすること。それがこの段階の目的です。
当院では、カニューレを機械的に往復運動させるMicroAire社のPAL(パワーアシスト脂肪吸引)を使用しています。
② Aspiration(吸引)
分離した脂肪を吸引します。
先に脂肪組織をほぐしておくことで、吸引操作を行いやすくし、周囲組織への負担に配慮しながら脂肪を取り除くことを目的としています。
当院で意識しているのは、取る量ではなく、取ったあとに何が残るかです。太ももでは、この判断が結果を左右します。
③ Fat Equalization(脂肪の均一化)
SAFELipoでは、吸引後に残った脂肪層を整える工程を、独立した段階として位置づけています。
この段階では、脂肪をさらに吸引することはしません。残った脂肪層の厚みを均一に整えていきます。取る作業ではなく、均す作業です。
残った脂肪層の厚みをできるだけ均一に整えることで、局所的な取りすぎや、治癒過程で生じる引きつれ・表面不整のリスクを抑えることを目指します。
太ももでは、この工程が面と面のつなぎ目でとくに重要になります。段差が生じやすいのは、吸引した部分そのものより、範囲の縁だからです。
なぜ、この考え方を選んでいるのか
脂肪吸引の技術には、さまざまな方式があります。熱で脂肪を溶かすもの、超音波で乳化させるもの。それぞれに考え方があります。
そのなかでSAFELipoを採用しているのは、「どう取るか」ではなく「どう残すか」を手術の中心に置いた設計だからです。
太ももは、吸引範囲が広い部位です。だからこそ、取ることよりも整えることに時間をかける必要があります。一部分だけを細くするのではなく、広い面積をどれだけ均一に残せるか。ここに手術の質が出ます。
この手法を用いれば凹凸が生じない、というものではありません
皮下脂肪の厚み、皮膚の状態、術後の経過には個人差があります。
当院がこの手法を採用しているのは、残す層をどう扱うかという設計思想が、太もものように範囲の広い部位に適していると考えているためです。
経過を見る期間
拘縮による硬さや凹凸は、多くの場合1〜3か月ほど続きます。
その後、徐々に和らいでいきます。仕上がりの評価は、術後3〜6か月を目安としています。
この期間は、腫れ、むくみ、拘縮が重なっています。この時期の見た目で最終的な結果を判断することはできません。
自己判断で強くマッサージすることは避けてください。時期と方法については、経過診察の際にご案内します。
▶ 太もも脂肪吸引後にやってはいけないこと|仕事・運動・入浴
よくある質問
Q. 術後1か月ですが、触ると硬い部分があります
拘縮による硬さの可能性があります。多くは1か月前後から現れ、1〜3か月ほど続きます。
ただし、硬さのすべてが拘縮とは限りません。痛みが強くなる、赤みや熱感があるといった場合は、自己判断せずご連絡ください。
Q. 凸凹は自然に治りますか?
拘縮によるものであれば、時間の経過とともに和らいでいきます。
一方、吸引した層の状態によるものは、時間が経っても残ることがあります。まずは経過を見る期間が必要です。
Q. 内ももだけの吸引でも凸凹になりますか?
範囲を限定した吸引では、吸引した面と、していない面との境目に段差が生じる可能性があります。
そのため当院では、範囲を限定する場合も、隣接する面とのつながりを確認したうえで範囲を設計しています。診察で脂肪の分布を確認し、範囲の考え方をご説明します。
Q. マッサージをすれば凸凹は改善しますか?
拘縮の時期にマッサージを希望される方がいらっしゃいますが、自己判断で始めないでください。
術後の時期に強い刺激を加えると、内出血や腫れの悪化につながる可能性があります。開始できる時期と方法は経過によって変わるため、診察の際にご相談ください。
Q. SAFELipoなら凸凹にならないのですか?
そうではありません。
SAFELipoは、残す脂肪の層を均一に整えることで凹凸のリスクを減らすことを目的とした手法ですが、生じないことを保証するものではありません。仕上がりには個人差があります。
Q. 皮下脂肪が少ない方のほうが凸凹になりやすいですか?
つまめる皮下脂肪が少ない場合、残せる層が確保しにくくなります。
当院では、触診で皮下脂肪の厚みを確認したうえで適応を判断しています。薄く筋肉が主体の方に吸引を行うことはありません。
Q. 圧迫着は凸凹の予防になりますか?
圧迫は、術後の腫れやむくみを管理し、吸引した部位を外側から支えることを目的としています。
しわが寄った状態で着用を続けると、その部分に圧が集中することがあります。着用方法については、別の記事でご説明しています。
まとめ
太ももの脂肪吸引で凹凸が生じる可能性はあります。太ももは吸引範囲が広く、内・外・前・後の4つの面が連続しているため、均一に仕上げるべき面積が大きい部位です。
術後に感じる硬さや凹凸には、拘縮による一時的なものと、吸引した層の状態によるものがあります。拘縮は多くの場合1か月前後から現れ、1〜3か月ほど続きます。この時期の見た目で仕上がりを判断することはできません。
凹凸の生じやすさには、取る量だけでなく、吸引後に残る脂肪層の厚みと、その均一性が関係します。とくに太ももでは、面と面のつなぎ目に段差が出やすいため、全周をひとつのユニットとして設計する必要があります。
当院では、この考え方にもとづくSAFELipoの3段階(分離・吸引・均一化)を採用しています。ただし、この手法を用いれば凹凸が生じない、というものではありません。
仕上がりの評価は、術後3〜6か月を目安としています。経過の途中で気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
▶ 太もも・臀部の脂肪吸引|施術内容・費用・ダウンタイム
太ももでお悩みの方へ
太ももは、範囲の広さゆえに設計が結果を左右する部位です。
一つの面だけを見て吸引量を決めるのではなく、脚全体のシルエットから逆算して、どの面をどこまで範囲とするかを決めています。取ることよりも、どこを残すかを重視した設計です。
脂肪吸引の適応がない場合は、手術をおすすめせず、太さの原因をご説明します。
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穴井 元康
IANA CLINIC
院長
経歴
2015年 Centre Hospitalier Universitaire Grenoble Alpes(フランス)
2016年 Mackay Memorial Hospital(台湾)
2017年 産業医科大学医学部医学科 卒業
国立病院機構九州医療センター勤務
2019年 トヨタ自動車株式会社 専属産業医
2020年 東北大学病院、東北労災病院 整形外科勤務
2021年 都内整形外科クリニック院長
2023年 大手美容クリニック勤務
2025年 韓国 LaPrin Plastic Surgery Fellowship
2025年 IANA CLINIC開院
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