SAFE Lipoとは——なぜ、IANA CLINICの脂肪吸引は滑らかに仕上がるのか

脂肪吸引の失敗として、よく語られるのが「凹凸」や「段差」です。「取りすぎたから」だと思われがちですが、実はそうとは限りません。仕上がりの滑らかさを決めているのは、取った量ではなく、残した層の均一さです。この考え方の土台になっているのが、SAFE Lipoです。

正直にお伝えすると、この名前を聞いたことがある方は、日本ではまだ多くありません。海外の一部の専門医の間では広く知られている考え方ですが、国内で正面から掲げているクリニックは、決して多くないのが現状です。今回は、この技術がなぜ生まれ、なぜ当院がこの考え方を土台にしているのかを、お伝えします。

この記事でわかること
・SAFE Lipo(分離・吸引・均一化の3ステップ)という考え方の中身
・凹凸のない仕上がりを決めるのは、脂肪の「量」ではなく「残し方」であること
・この技術が、修正脂肪吸引の現場から生まれた背景
・日本国内では、まだ広く知られていない理由
・当院がこの技術を扱える、技術的な裏付け

目次

SAFE Lipoとは——3つのステップからなる考え方

SAFE Lipoは、米国ルイジアナ州の形成外科医、Simeon Wall Jr.医師が確立した手法です。単なる脂肪吸引ではなく、脂肪の除去だけでなく再配分や皮膚の状態まで含めた、包括的な「身体の再設計(body contouring)」という位置づけで提唱されています。名前の由来は、次の3つのステップの頭文字です。

① Separation(分離):特殊なカニューレを使い、脂肪を周囲の組織から優しく分離します。血管やリンパ管を傷つけずに、脂肪だけを緩めることが目的です。

② Aspiration(吸引):分離した脂肪を、細いカニューレで吸引します。周囲組織への負担を抑えながら、必要な脂肪を的確に取り除きます。

③ Fat Equalization(脂肪の均一化):吸引後に残った脂肪の層を、専用のカニューレで均一に整えます。この工程があることで、薄すぎる部分や厚く残りすぎた部分がなくなり、皮膚が滑らかに見える土台が整います。

従来の脂肪吸引が「いかに多く、いかに効率よく脂肪を取り除くか」に主眼を置いていたのに対し、SAFE Lipoは「取った後、皮下に何を、どれだけ残すか」まで含めて設計します。皮膚は、その下にある脂肪の地形をそのまま表面に映し出します。だからこそ、残った層が均一であることが、滑らかな仕上がりの前提条件になります。

なぜ「残し方」が重要なのか

脂肪吸引で凹凸が生じる主な原因は、吸引にムラがあることです。ある場所は薄く、ある場所は厚く脂肪が残ると、その境目が皮膚表面の段差として現れます。取る量そのものよりも、残った層の厚みにばらつきがないかどうかが、仕上がりを分けるのです。

SAFE Lipoでは、吸引の工程だけでなく、吸引した後に残った層をなめらかに均す工程(Fat Equalization)までを、ひとつの手術の中に組み込みます。つまり、「吸って終わり」ではなく、「吸って、均して、初めて完成」という考え方です。

修正脂肪吸引の現場から生まれた技術

SAFE Lipoが生まれた背景には、ひとつのきっかけがあります。Wall Jr.医師が開業した当初、他院で脂肪吸引を受け、凹凸や波打ちが残ってしまった患者の修正手術を数多く担当することになりました。この修正手術の経験を重ねる中で体系化されたのが、SAFE Lipoです。もともと「失敗を治すため」に磨かれた技術が、その後、初めて脂肪吸引を受ける方にも有効であることが分かり、広く用いられるようになりました。

2016年には、Plastic and Reconstructive Surgery誌(米国形成外科学会の機関誌)に、734例の症例を検証した論文が発表されています。この論文では、修正手術が必要となるような重篤な合併症は報告されておらず、皮膚の凹凸や波打ちも生じなかったと報告されています。もちろん、これは特定の条件下での報告であり、すべての手術で同じ結果が保証されるものではありませんが、修正を目的として磨かれてきた技術であることは、この手法の性質をよく表しています。

「取りすぎない」という技術

SAFE Lipoの考え方を土台にすると、脂肪吸引に対する見方が変わります。「たくさん取れば取るほど良い」のではなく、「どこに、どれだけの厚みを残すか」を設計することこそが、仕上がりを決めるということです。

当院が施術のたびに大切にしているのは、この「残す設計」です。吸引する量ではなく、残す層の均一さから逆算してデザインする——これは、特別な機械があれば誰でもできることではなく、術者がどれだけこの考え方を理解し、実践しているかにかかっています。

なぜ、日本ではまだ広まっていないのか

SAFE Lipoは、単なる知識として本を読めば身につくものではありません。特殊なカニューレの扱い方、麻酔液を入れる段階から工程を組み立てる考え方、脂肪を均一化させる感覚——これらは、体系立てて指導を受け、実際に数多くの症例を経験しなければ、身につかない技術です。

こうした背景から、日本国内でこの考え方を正面から掲げ、実践しているクリニックは、決して多くありません。表面的に名前だけを借りて紹介しているところと、実際に技術として体得しているところの間には、大きな差があります。

当院が、この技術を扱える理由 〜IANA CLINICとSAFE Lipoの関係〜

私は、韓国での研鑽の中で、この考え方を直接の師匠から受け継ぎました。師匠自身が米国でSAFE Lipoを学んでおり、その技術と思想がそのまま引き継がれています。

それに加えて、私自身もSimeon Wall Jr.医師の原著論文を読み、Plastic and Reconstructive Surgery誌に掲載された手術動画も繰り返し研究してきました。人づてに聞いた術式をそのまま行うのではなく、元となる文献と映像に自ら立ち返り、理解した上で、当院の環境に合わせて発展させています。「また聞き」で導入した技術と、原著論文まで遡って理解した技術は、応用できる幅も、トラブルへの対応力も、まったく違います。

当院で行っているのは、SAFE Lipoをそのまま踏襲したものではなく、その考え方をベースにした独自の改良版です。麻酔液(チュメセント)を入れる最初の段階からMicroAireを使用し、組織を傷つけずに脂肪だけを緩める工程を加えるなど、当院ならではの工夫を重ねています。

皮膚を支えている「土台」の構造

凹凸の原因をさらに掘り下げると、脂肪そのものだけの問題ではないことが分かります。皮膚のすぐ下には、目に見えない網目状の組織が広がっています。神経や血管、そしてそれらを支える繊維組織、むくみに関係するリンパ管——これらが、皮膚がたるまないように内側から支える「土台」の役割を果たしています。

脂肪吸引でカニューレを動かす際、脂肪を十分にほぐさないまま吸引してしまうと、脂肪だけでなく、この土台の組織まで一緒に引き剥がされてしまうことがあります。土台の組織が傷つくと、その部分が瘢痕組織として癒着し、時間の経過とともに収縮します。これが、術後の凹凸として現れる大きな原因のひとつです。

つまり、脂肪吸引で本当に大切なのは、脂肪はしっかりと取りながらも、この土台の構造は傷つけずに残すことです。当院がSAFE Lipoの考え方を土台に、麻酔液を入れる段階からMicroAireを併用しているのも、この土台組織をできる限り傷つけずに、脂肪だけを丁寧にほぐして吸引するためです。大切な組織は壊さない——これが、当院の脂肪吸引において最も重視している一点です。

道具だけでは、思想だけでは、実現できない

SAFE Lipoという考え方だけがあっても、それを実現する道具がなければ、絵に描いた餅で終わります。当院がMicroAireという機器にこだわっているのは、この思想を実際の手術として形にするためです。

逆に、優れた機器があっても、その扱い方や、どこにどれだけの層を残すかという判断力がなければ、性能を活かしきれません。SAFE Lipoという思想と、MicroAireという道具。当院は、その両方を揃えることにこだわっています。技術だけを語るクリニックも、機材だけを語るクリニックも、それぞれ片方しか語っていません。当院がお伝えしたいのは、その両方が揃って初めて実現する結果です。

すべての凹みを解決するわけではありません

SAFE Lipoは、凹凸や波打ちを防ぐことに優れた考え方ですが、万能ではありません。もともと皮膚のたるみが強い方の場合、脂肪吸引だけでは皮膚の余りが残ることがあり、皮膚を切除する治療が必要になる場合もあります。また、レーザーや高周波(RF)のような熱を使う機器で皮膚を引き締める方法とは異なり、SAFE Lipoは組織への負担を抑えるために熱を使いません。皮膚の収縮は、機械的な均一化によって促されるものであり、熱による強制的な引き締めとは仕組みが異なります。

二の腕についても、この考え方は有効な適応部位のひとつですが、皮膚のたるみの程度によっては、脂肪吸引以外の選択肢もあわせてご説明することがあります。当院では、脂肪の状態と皮膚の状態の両方を診察したうえで、適した方法をご案内しています。

まとめ

・SAFE Lipoは、米国のSimeon Wall Jr.医師が確立した、分離・吸引・均一化の3ステップからなる手法

・もともと修正脂肪吸引(失敗した脂肪吸引のやり直し)のために磨かれた技術で、凹凸や波打ちを防ぐ性質に優れている

・日本国内ではまだ広く知られておらず、正面から実践しているクリニックは限られている

・皮膚の下には、神経・血管・リンパ管を支える「土台」の組織があり、これを傷つけると凹凸の原因になる

・当院はこの考え方を、韓国の師匠からの継承と、院長自身による原著論文・手術動画の研究の両方から学んでいる

・当院で行っているのはSAFE Lipoの改良版であり、MicroAireという道具と組み合わせて独自に発展させている

・皮膚のたるみが強い場合など、脂肪吸引だけでは対応が難しいケースもあり、状態に応じた見極めが重要

IANA CLINICでは、この「残す設計」の考え方を、顔・二の腕・お腹・太ももなど、あらゆる部位の脂肪吸引に一貫して用いています。まだ日本では広く知られていない技術ですが、それを広島で受けられる意味を、私たちは大切にしています。仕上がりのイメージや、ご自身の脂肪の状態について気になる方は、お気軽にご相談ください。

参考文献

・SAFELipo公式サイト(技術解説) https://www.safelipo.com/technique/

・Wall SH Jr, Lee MR. Separation, Aspiration, and Fat Equalization: SAFE Liposuction Concepts for Comprehensive Body Contouring. Plastic and Reconstructive Surgery. 2016;138(6):1192-1201. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27879586/

・The Wall Center(2016年論文の解説記事) https://www.wallcenter.com/blog/study-proves-safety-efficacy-safelipo/

・A Conversation With Dr. Simeon Wall Jr.(経歴・開発背景) https://www.safelipo.com/for-physicians/a-conversation-with-dr-simeon-wall-jr/

・MicroAire PAL System(製品仕様) https://www.microaire.com/product/pal-system/

・SAFELipo for Liposuction Correction(修正脂肪吸引としての開発経緯) https://www.safelipo.com/treatments/safelipo-for-liposuction-correction/

・Expansion Vibration Lipofilling(EVL)論文(2018年PRS誌) https://www.safelipo.com/content/uploads/2020/06/expansion-vibration-lipofilling.pdf

・Plastic Surgery Key – SAFE Liposuction https://plasticsurgerykey.com/74-safe-liposuction/

監修医師
IANA CLINIC院長 穴井元康

穴井 元康

IANA CLINIC
院長


経歴

2015年 Centre Hospitalier Universitaire Grenoble Alpes(フランス)

2016年 Mackay Memorial Hospital(台湾)

2017年 産業医科大学医学部医学科 卒業
    国立病院機構九州医療センター勤務

2019年 トヨタ自動車株式会社 専属産業医

2020年 東北大学病院、東北労災病院 整形外科勤務

2021年 都内整形外科クリニック院長

2023年 大手美容クリニック勤務

2025年 韓国 LaPrin Plastic Surgery Fellowship

2025年 IANA CLINIC開院

患者様一人ひとりのお悩みやご希望に丁寧に向き合い、

自然な仕上がりを重視した美容医療の提供に努めています。