「脂肪を取ったら、皮膚が余ってしまうのではないか」
「お腹の脂肪が減った分、皮がたるむのでは」
腹部の脂肪吸引を検討されている方から、よくいただくご質問です。
脂肪吸引で減らせるのは脂肪の量であり、皮膚の面積そのものを小さくすることはできません。そのため、皮膚の状態によっては、脂肪を減らすことでたるみが目立つことがあります。
一方で、すべての方にたるみが起こるわけではありません。たるむかどうかは、もともとの皮膚の状態と、どれだけ吸引するかによって大きく変わります。
この記事では、腹部の脂肪吸引でたるみが起こる仕組みと、たるみが出やすい方の特徴、そして当院がたるみを避けるために行っていることについてご説明します。
この記事でわかること
✅ 脂肪吸引でたるみが起こる仕組み
✅ たるみの3つのパターン
✅ 腹部でたるみが出やすい理由
✅ たるみが出やすい方の特徴
✅ 当院がたるみを避けるために行っていること
✅ 皮膚のたるみが主体の場合の選択肢
腹部脂肪吸引でたるみは起こるのか
脂肪を減らしても、皮膚の面積は減りません
脂肪吸引は、皮下脂肪の脂肪細胞を取り除く施術です。
脂肪が減ると、その上に乗っていた皮膚には余裕が生まれます。皮膚に十分なハリと弾力があれば、この余裕は時間をかけて縮み、新しい形になじんでいきます。
しかし、皮膚のハリが低下していると、縮み切らずに余った状態が残ることがあります。これがたるみです。
つまり、たるみが起こるかどうかは、「どれだけ脂肪を減らしたか」と「皮膚がどれだけ縮む力を持っているか」の関係で決まります。
たるむかどうかは、術前にある程度予測できます
皮膚をつまんだときの厚み、離したときの戻り方、ハリの程度。これらは診察で確認できます。
そのため、脂肪を減らしたときに皮膚がなじみそうか、それともたるみが目立ちそうかは、手術の前におおよそ判断できます。
当院では、たるみは術後に対処するものというより、術前の適応判断と吸引量の設計によって避けるものだと考えています。
腹部でたるみが出やすい理由
皮膚の面積が大きい部位です
二の腕や太ももと比べて、腹部は皮膚の面積が広い部位です。
面積が広いということは、脂肪を減らしたときに生じる皮膚の余りも大きくなるということです。同じ厚みの脂肪を減らしても、範囲が広ければ余る皮膚の総量は増えます。
下腹部は、重力の影響を受けます
腹部の皮膚は、立った状態では常に下方向へ引かれています。
特に下腹部では、余った皮膚が前下方に垂れる形になりやすく、たるみとして目立ちやすい部位です。上腹部よりも下腹部の方が、皮膚の余りが気になりやすいのはこのためです。
妊娠・出産や減量で、皮膚が伸びやすい部位です
腹部は、体重の増減や妊娠によって最も大きく伸び縮みする部位です。
そのため、過去に皮膚が大きく伸展した履歴が残っていることが多く、その状態で脂肪を減らすと余りが表に出やすくなります。
たるみには3つのパターンがあります
「たるんだ」と表現される状態には、性質の異なるものが含まれています。分けて考える必要があります。
① もともとあったたるみが、目立つようになる
脂肪によって内側から張られていた皮膚が、脂肪が減ったことで余って見えるようになるケースです。
この場合、たるみは手術によって作られたものではなく、もともと皮膚にあった余裕が表に出てきたものです。
脂肪が多いうちは、皮膚が内側から支えられているため、たるみが隠れていることがあります。脂肪を減らすと、その支えがなくなります。
このパターンは、術前の診察で予測できることがほとんどです。
② 脂肪を取り過ぎたことによるたるみ
皮膚の状態に対して吸引量が多すぎた場合に起こります。
「できるだけ多く取ってほしい」というご希望に沿って吸引量を増やすと、皮膚が縮み切らず、たるみとして残ることがあります。
腹部は面積が広い分、取り過ぎたときの影響も広い範囲に出ます。多く取ることが良い結果につながるわけではありません。
③ 術後、一時的に皮膚が緩んで感じる時期
術後1か月前後、腫れが引いてきて、まだ拘縮が十分に進んでいない時期があります。
この時期に「皮膚が余った気がする」と感じることがあります。
多くの場合、拘縮が進み、皮膚と皮下組織がなじんでいくにつれて落ち着いていきます。完成までには3〜6か月かかるため、この時期の状態で判断する必要はありません。
▶ 腹部脂肪吸引のダウンタイムはいつまで?腫れ・内出血・拘縮の経過を解説
たるみが出やすい方の特徴
皮膚のハリや弾力が低下している方
つまんだ皮膚を離したときの戻りが遅い方、皮膚が薄く伸びている方では、脂肪を減らした後に皮膚が縮みにくい傾向があります。
大幅な減量を経験した方
短期間に大きく体重が減った経験がある方では、皮膚が伸びた状態のまま残っていることがあります。
この場合、残った脂肪を吸引すると、皮膚の余りがより目立つことがあります。
妊娠・出産を経験した方
妊娠中の体重変化によって、皮膚が伸びた状態になることがあります。
妊娠線が広くみられる場合は、皮膚が大きく伸展したことの一つの手がかりになります。また、産後は腹直筋離開が関わっていることもあり、この場合は脂肪を減らしても前方への張り出しが残る可能性があります。
▶ 産後のぽっこりお腹は脂肪吸引で治る?腹直筋離開について医師が解説
皮下脂肪が厚く、吸引量が多くなる方
もともとの脂肪量が多いほど、取り除いた後の皮膚の余裕は大きくなります。
そのため、吸引量が多くなる方では、たるみのリスクも高くなります。この場合、吸引量そのものを見直すか、圧迫の期間を延長するなどの対応を検討します。
年齢について
皮膚のたるみが主因となるケースは年齢とともに増える傾向があり、当院でも40代以降でその傾向を感じることがあります。
ただし年齢だけで判断できるものではありません。30代でも皮膚のハリが低下している方はいらっしゃいますし、40代以降でもハリが保たれている方はいらっしゃいます。皮膚のつまみ具合やハリ、戻り方を確認しながら判断しています。
当院がたるみを避けるために行っていること
たるみが強く出ると予測される場合は、手術をおすすめしていません
診察の結果、脂肪を減らすことでたるみが目立つと予測される場合には、その旨をお伝えしています。
お腹を細くするために受けた手術で、たるみが気になるようになってしまえば、目的と矛盾します。
適応がないと判断した方に、脂肪吸引をおすすめすることはありません。
取れる限界まで吸引するという設計をしていません
当院では「どれだけ吸うか」ではなく「何ミリの層を、どれだけ均一に残すか」から設計しています。
皮膚のハリや厚み、つまんだときの戻り方を確認したうえで、その方にとっての吸引量の上限を判断しています。
範囲全体のバランスで設計します
一部分だけを集中して吸引すると、その部分だけ皮膚が余り、周囲との段差が目立つことがあります。
当院では上腹部・下腹部・側腹部・腰を一周のつながりとして評価し、どこからどこまでを範囲とするかを設計しています。
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圧迫の期間を調整します
圧迫は、皮膚を縮めることが目的ではありません。腫れやむくみを抑え、皮膚と皮下組織が適切になじむ環境を整える目的で行っています。
当院では最低1週間、24時間の着用をお願いしています。その後は通常2〜4週間が目安です。
吸引量が多く、たるみのリスクが高いと判断した場合には、4週間程度、経過によってはさらに継続をご案内することがあります。
▶ 腹部脂肪吸引の圧迫着はいつまで必要?着用期間・過ごし方を医師が解説
腹部脂肪吸引をおすすめしない方
たるみという観点から、当院では次のような場合に脂肪吸引をおすすめしていません。
- お腹のふくらみの主な原因が、脂肪ではなく皮膚のたるみである方
- 皮膚をつまんだときの戻りが明らかに遅い方
- 大幅な減量後で、皮膚の余りがすでに目立っている方
- 皮下脂肪が薄く、取り除ける量に対して皮膚の余裕が大きい方
- 産後で、腹直筋離開の影響が大きいと判断される方
- 体重の増減が大きく、体型が安定していない方
- 「できるだけ多く取ってほしい」というご希望が強い方
これらに当てはまる場合、脂肪を減らしても希望する見た目にはならず、かえってたるみが気になる結果になることがあります。
診察では、その理由を含めてご説明しています。
皮膚のたるみが主体の場合の選択肢
腹壁形成術(タミータック)について
皮膚のたるみそのものを改善する方法として、腹壁形成術があります。
余った皮膚を切除し、緩んだ腹壁の筋膜を縫い縮める手術です。脂肪吸引が脂肪の量を減らす手術であるのに対して、こちらは皮膚と腹壁の構造そのものを作り直す手術です。
そのため、脂肪吸引では変えられないものを扱えます。伸びて余った皮膚、産後の腹直筋離開、妊娠線が集中している下腹部の皮膚。これらは脂肪を減らしても変わりませんが、切除すればなくなります。適応が合った場合に得られる変化は、脂肪吸引とは質が異なります。
一方で、負担も大きい手術です。下腹部に横方向の長い傷が残り、へそも作り直します。ドレーンを留置し、術後は前かがみの姿勢でしばらく過ごしていただくことになります。血栓症のリスクも脂肪吸引より高く、日常生活への復帰にも時間がかかります。費用も脂肪吸引とは異なる水準になります。
当院では現在、メニューとしてご用意していません
院長は腹壁形成術の経験がありますが、当院では現在、この手術をメニューとして設けていません。
理由は術後の管理体制です。ドレーンの管理や長いダウンタイムを含めて、安全に対応できる体制が整っていることが前提の手術だと考えているためです。
必要とされる方がいらっしゃることは理解しています。今後、体制を整えたうえで導入を検討しています。
切開を希望されない場合
たるみがあっても、傷を残したくないという方は少なくありません。
その場合には、吸引量と範囲を控えめに設計し、たるみが目立ちにくい範囲にとどめるという方法をとることがあります。
ただし、この場合は細さの変化が限定的になります。「たるませないこと」と「細くすること」は、ある段階から両立しなくなります。
どちらを優先するかは、診察の際にご相談のうえ決めています。
当院ではたるみ治療の機器は扱っていません
高周波やHIFUなど、皮膚の引き締めを目的とした機器による治療は、当院では行っていません。
そのため、たるみが主体の方に対しては、脂肪吸引をおすすめしないという判断をすることになります。
術後にたるみが気になったときの対応
まずは完成までの経過を見ます
術後1〜3か月は、拘縮の影響でお腹の状態が安定していない時期です。
この時期に「皮膚が余っている」と感じても、その後になじんでいくことがあります。完成の目安は術後3〜6か月です。
当院では術後1週間・1か月・3か月・6か月を目安に経過診察を行っています。気になる場合は、その都度お伝えください。
体重の変動に注意してください
術後に体重が大きく増減すると、皮膚の状態も変わります。
特に、術後の急激な減量は皮膚の余りを増やす方向に働きます。完成までの期間は、体重を大きく動かさない方が仕上がりが安定します。
完成後も気になる場合
術後6か月を過ぎても皮膚の余りが残る場合、脂肪吸引で改善することは困難です。
たるみの原因は皮膚の面積にあるため、脂肪をさらに減らしてもたるみは改善せず、むしろ強くなります。
この場合、皮膚を切除する方法が選択肢となりますが、傷跡が残ります。状態を確認したうえで、どのような選択肢があるかをご説明しています。
▶ 腹部脂肪吸引で後悔するケースとは?失敗を防ぐポイントを解説
よくある質問
Q. 脂肪吸引をすると必ずたるみますか?
必ずたるむわけではありません。
皮膚にハリと弾力が保たれていれば、脂肪を減らした後も皮膚がなじんでいきます。たるみが問題になるのは、皮膚の状態に対して吸引量が多い場合や、もともと皮膚に余りがある場合です。
Q. 脂肪吸引をすると皮膚は縮みますか?
脂肪吸引によって皮膚そのものが縮むわけではありません。
皮膚にはもともと一定の収縮力があり、脂肪を減らした後は時間の経過とともになじんでいきます。ただし、その程度は皮膚のハリや弾力によって異なります。皮膚の収縮だけでは補えない場合には、たるみとして残ることがあります。
Q. 痩せている人でもたるみますか?
皮下脂肪が薄い方では、そもそも取り除ける脂肪の量が限られるため、大きなたるみにはつながりにくい傾向があります。
ただし、過去に大幅な減量をされた方や、妊娠・出産を経験された方では、少量の吸引でも皮膚の余りを感じることがあります。体重だけで判断できるものではありません。
Q. たるみは時間が経てば戻りますか?
術後1〜3か月の時期に感じる皮膚の緩みは、拘縮が進むにつれて落ち着いていくことが多くみられます。
一方で、完成後も残るたるみは、時間の経過で改善することは期待しにくくなります。
Q. 圧迫着を長くつければ、たるみは防げますか?
圧迫着に、皮膚を縮める効果はありません。
圧迫の目的は、腫れやむくみを抑え、皮膚と皮下組織がなじみやすい状態を保つことです。吸引量が多い場合には期間を延長することがありますが、たるみを防ぐための手段ではなく、経過を安定させるためのものとお考えください。
Q. 腹筋を鍛えればたるみは改善しますか?
腹筋を鍛えることで腹壁の支持性が高まり、お腹全体の印象が変わることはあります。
ただし、余った皮膚そのものが縮むわけではありません。皮膚の面積の問題は、筋肉では解決しません。
Q. たるみが出た場合、修正はできますか?
脂肪吸引で改善することは困難です。たるみの原因は皮膚の面積にあるため、脂肪をさらに減らすと、たるみは強くなります。
皮膚を切除する方法が選択肢となりますが、傷跡が残ります。状態によって判断が異なるため、診察でご説明しています。
Q. 吸引量を減らせば、たるみませんか?
たるみのリスクは下がりますが、細さの変化も小さくなります。
「たるませないこと」と「細くすること」は、ある段階から両立しません。どこで線を引くかを、診察の際にご相談のうえ決めています。
Q. 何歳まで受けられますか?
年齢だけで適応が決まるわけではありません。
年齢とともに皮膚のハリは低下する傾向がありますが、個人差が大きい部分です。診察で皮膚の状態を確認したうえで判断しています。
まとめ
脂肪吸引で減らせるのは脂肪の量であり、皮膚の面積そのものを減らすことはできません。そのため、皮膚の状態によっては、脂肪を減らした後に皮膚が余って見えたり、たるみとして感じたりすることがあります。
腹部は皮膚の面積が広く、下腹部では重力の影響も受けます。加えて、妊娠や体重の増減によって皮膚が伸びた履歴が残りやすい部位でもあります。
ただし、たるむかどうかは術前にある程度予測できます。皮膚のハリや厚み、つまんだときの戻り方は、診察で確認できるためです。
当院では、たるみが強く出ると予測される場合には、脂肪吸引をおすすめしていません。また、取れる限界まで吸引するという設計もしていません。
そして、皮膚のたるみが主体の場合には、脂肪吸引では解決できません。皮膚を切除する腹壁形成術という方法がありますが、当院では現在メニューとしてご用意していないため、その旨も含めてご説明しています。
「たるませないこと」と「細くすること」は、ある段階から両立しなくなります。どちらを優先するかは、あらかじめ共有しておく必要があります。
▶ 腹部脂肪吸引完全ガイド|ダウンタイム・費用・傷跡・効果を医師が解説
たるみが心配な方へ
お腹のふくらみの原因が脂肪なのか、皮膚のたるみなのかによって、適した方法は変わります。
脂肪であれば脂肪吸引が選択肢となりますが、皮膚のたるみが主体であれば、脂肪を減らしてもたるみは改善しません。むしろ目立つようになることがあります。
当院では、皮下脂肪の厚みと皮膚の状態を確認したうえで、脂肪吸引が適しているかをご説明しています。適応がないと判断した場合には、その旨もお伝えしています。
「細くすること」だけではなく、「たるませないこと」まで考えたうえで、その方に合った治療方針を説明いたします。
お腹についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
お電話でのご予約・お問い合わせ
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穴井 元康
IANA CLINIC
院長
経歴
2015年 Centre Hospitalier Universitaire Grenoble Alpes(フランス)
2016年 Mackay Memorial Hospital(台湾)
2017年 産業医科大学医学部医学科 卒業
国立病院機構九州医療センター勤務
2019年 トヨタ自動車株式会社 専属産業医
2020年 東北大学病院、東北労災病院 整形外科勤務
2021年 都内整形外科クリニック院長
2023年 大手美容クリニック勤務
2025年 韓国 LaPrin Plastic Surgery Fellowship
2025年 IANA CLINIC開院
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