「脂肪吸引をした腕が凸凹になっている写真を見て、不安になった」
「触ると波打っているような仕上がりになると聞いた」
二の腕の脂肪吸引を検討している方から、たびたびいただくご相談です。
脂肪吸引後に凹凸が生じることはあります。特に術後早期にみられる凹凸には、腫れや拘縮など、回復の途中で一時的に現れるものが含まれます。
一方で、完成後まで残る凹凸もあります。これは、脂肪を吸引したあとに残した脂肪層の厚みが、場所によって違っていることが原因です。
この記事では、凹凸が起こる原因を4つに分けて整理し、当院が凹凸を防ぐために行っている設計についてご説明します。
この記事でわかること
✅ 二の腕に凹凸が出やすい理由
✅ 凹凸の4つのパターン
✅ 当院が凹凸を防ぐために行っていること
✅ 凹凸が出やすい方の傾向
✅ 術後に凹凸が気になったときの対応
二の腕は、凹凸が出やすい部位です
皮膚が薄く、脂肪層の差が表面に出ます
二の腕は、腹部や太ももと比べて皮膚が薄い部位です。
皮膚が薄いということは、その下にある脂肪層の状態が、そのまま表面の形として現れやすいということです。
脂肪を吸引したあと、残った脂肪層の厚みが場所によって違っていると、その厚みの差が皮膚の表面に地形として出ます。これが凹凸です。
腹部であれば皮膚の厚みがある程度緩衝してくれますが、二の腕ではそれが期待できません。
曲面が連続している部位です
二の腕は、単純な円柱ではありません。
肩は球面に近い形をしており、そこから腕にかけて曲面が連続し、肘へ向かって細くなっていきます。脇の側は平面に近く、内側と外側でも皮膚の厚みが異なります。
一定の量を均等に吸引すればよいという部位ではなく、場所ごとに残すべき厚みが変わります。
腕を動かすため、見え方が変わります
二の腕は、下ろしたときと上げたときで形が変わります。
腕を下ろした状態で平らに見えていても、上げたときに凹みが出ることがあります。逆に、上げた状態で確認しただけでは、下ろしたときのたわみが判断できません。
そのため、複数の姿勢で確認しながら進める必要があります。
凹凸には4つのパターンがあります
「凸凹になった」と表現される状態には、原因の異なるものが含まれています。
① 拘縮による一時的な凹凸
最も多いのがこのパターンです。
拘縮は術後2週間頃から感じ始める方もいらっしゃいますが、多くは1か月前後から現れ、1〜3か月ほど続きます。
皮膚や皮下組織が一時的に硬くなり、触ると硬い部分と柔らかい部分ができます。
見た目にも波打っているように感じられることがありますが、これは組織が修復されている過程で現れる変化です。
拘縮は術後1〜3か月ほど続きながら徐々に改善し、完成の目安である3〜6か月に向けてなじんでいきます。
この時期の凹凸で仕上がりを判断する必要はありません。
▶ 二の腕脂肪吸引のダウンタイムはいつまで?腫れ・内出血・拘縮の経過を解説
② 吸引が不均一だったことによる凹凸
残した脂肪層の厚みが、場所によって違っている状態です。
カニューレを同じ方向にだけ通すと、通った部分だけが多く吸引され、溝のような凹みができます。また、皮膚のすぐ下の層まで吸引すると、皮膚が深部の組織と癒着し、引きつれたような凹みになります。
このパターンは、拘縮による凹凸とは異なり、時間の経過だけでは改善しにくいという特徴があります。
③ 吸引範囲の境目にできる段差
吸引した部分と、していない部分の境目に生じる段差です。
たとえば、振袖の部分だけを吸引して肩や付け根に厚みが残ると、その境目に線のような段差ができることがあります。
範囲そのものは適切でも、辺縁の処理が急であれば段差になります。
④ もともとあった皮膚表面の凹凸
脂肪吸引を受ける前から、皮膚の表面に細かな凹凸がある方もいらっしゃいます。いわゆるセルライトと呼ばれる状態です。
これは脂肪そのものというより、皮下脂肪を区画している線維性の壁によるものです。この壁が皮膚を内側へ引っ張ることで、表面に小さな陥凹ができます。
脂肪吸引で減らせるのは、この区画の中に入っている脂肪です。皮膚を引っ張っている線維性の構造そのものがなくなるわけではありません。
そのため、セルライトによる表面の凹凸そのものを改善する治療ではありません。一方で、脂肪というクッションが減ることで、もともとあった凹凸が目立つようになることもあります。
表面の細かな凹凸そのものの改善を目的とされる場合、脂肪吸引は適した方法ではありません。
当院が凹凸を防ぐために行っていること
凹凸は、術後に治すものではなく、手術の設計と操作で避けるものだと考えています。
皮膚のすぐ下の脂肪層は残します
皮下脂肪は、深い層と浅い層に分けて考えられます。
当院では主に深い層を吸引し、皮膚のすぐ下にある浅い脂肪層は、表面のなめらかさを保つために必要な厚みを残します。浅い層を過剰に吸引すると、皮膚の引きつれや凹み、血流障害などの原因となる可能性があります。
当院では「どれだけ取るか」ではなく「どの層を、どれだけ均一に残すか」を設計しています。この考え方が、凹凸を避けるうえで最も重要だと考えています。
複数の方向からカニューレを通します
一方向からだけ吸引すると、カニューレが通った経路に沿って溝ができます。
そのため、複数の切開部から、交差する方向にカニューレを通していきます。同じ場所を異なる角度から通過させることで、一方向の操作で生じる偏りを打ち消していきます。
切開部の位置を決める際に、傷跡の目立ちにくさだけでなくカニューレの操作性を考慮しているのは、このためです。
範囲の辺縁は、吸引量を段階的に減らします
吸引する範囲の縁で急に操作をやめると、そこに段差ができます。
そのため、辺縁に向かって吸引量を徐々に減らし、周囲との移行がなだらかになるようにしています。
また、肩や付け根に厚みが残っている場合には、振袖だけでなく範囲に含めて設計します。境目そのものを作らないという考え方です。
手で触って厚みを確認しながら進めます
吸引した量を目安にするのではなく、皮膚をつまんで残っている脂肪層の厚みを繰り返し確認します。
左右を比較し、腕を下ろした状態と上げた状態の両方で形を確認します。二の腕は姿勢によって見え方が変わるため、一つの体位だけで判断することはできません。
MicroAireを主に使用しています
脂肪吸引の機器にはそれぞれ特性があります。当院が二の腕にMicroAireを主に使用しているのは、この部位が凹凸の出やすい部位だからです。
カニューレ先端が微細に振動するPALシステムは、力を加えずに脂肪層を通過できるため、層の厚みをコントロールしやすい特性があります。
ただし、脂肪量が多い場合には効率的な吸引が可能なQ-Leanを使用することもあります。機器そのものより、どの部位にどう使うかを判断することが重要だと考えています。
MicroAire(マイクロエア)とは——広島で、世界基準の脂肪吸引を
取り過ぎないことも予防のひとつです
「できるだけ多く取ってほしい」というご希望に沿って吸引量を増やすと、残る脂肪層が薄くなります。
層が薄くなるほど、わずかな厚みの差が表面に出やすくなります。取り過ぎは、たるみだけでなく凹凸の原因にもなります。
▶ 二の腕脂肪吸引でたるむ?皮膚が余る?原因と改善方法を医師が解説
凹凸が出やすい方の傾向
皮膚のハリが低下している方
皮膚に弾力があれば、脂肪を減らした後も表面がなめらかに落ち着きやすくなります。
一方で、ハリが低下していると、下の層の状態が表面に出やすくなります。
もともと皮下脂肪が厚い方
脂肪が厚いほど、吸引量も多くなります。
減らす量が多いということは、残す層の厚みを一定に保つ操作もそれだけ難しくなるということです。
すでに手術を受けている部位
一度脂肪吸引を受けた部位では、組織に瘢痕が生じています。
そのため、再手術や他院修正では、カニューレが均一に進みにくく、初回の手術より難易度が上がります。
当院でも他院で受けられた方のご相談はお受けしていますが、改善の見込みが乏しいと判断した場合には、その旨をお伝えしています。
二の腕脂肪吸引をおすすめしない方
凹凸という観点から、当院では次のような場合に脂肪吸引をおすすめしていません。
- 「できるだけ多く取ってほしい」というご希望が強い方
- 皮膚のハリが大きく低下している方
- つまめる皮下脂肪が薄く、残せる層に余裕がない方
- すでに複数回の脂肪吸引を受けており、改善の見込みが乏しいと判断される方
- 表面の細かな凹凸そのものの改善を目的とされている方
- 完成までの経過を待つことが難しい方
脂肪吸引でなめらかな仕上がりを目指すには、残せる脂肪層に一定の余裕が必要です。その余裕がない状態で吸引すると、細くはなっても表面が整わないという結果になります。
▶ 二の腕脂肪吸引が向いている人・向いていない人|運動では痩せない二の腕とは?
術後に凹凸が気になったときの対応
術後早期は経過を確認しながら判断します
術後1〜3か月は、拘縮や腫れの影響によって一時的な凹凸が現れやすい時期です。
この時期は硬い部分と柔らかい部分の差が大きく、最も凹凸を感じやすい時期でもあります。拘縮が改善するにつれて、目立たなくなっていくことが多くみられます。
ただし、急に腫れが強くなった場合、片側だけが大きく膨らんだ場合、赤み・熱感・強い痛みを伴う場合、液体がたまっているように感じる場合は、完成を待たずにご相談ください。
当院では術後1週間・1か月・3か月・6か月を目安に経過診察を行っています。気になる場合は、その都度お伝えください。
マッサージについて
自己判断で強くマッサージを行うことはおすすめしていません。
強い刺激は、かえって組織に負担をかける可能性があります。市販のマッサージ器具や美容機器の使用も同様です。
必要かどうか、開始する時期については、経過を確認したうえでご説明しています。
インディバなど、サロンでのケアについて
術後に、インディバをはじめとする温熱・高周波のケアを検討される方がいらっしゃいます。当院ではこれらの機器を導入していないため、外部の施設を利用される方もいらっしゃいます。
受けること自体を止めているわけではありませんが、次の3点にご注意ください。
① 開始する時期
腫れが残っている時期や、創部が安定していない時期に施術を受けると、経過に影響する可能性があります。
施術を受ける時期については、一度経過診察でご相談ください。
② 刺激の強さ
「早く柔らかくしたい」というお気持ちから強い施術を希望される方もいらっしゃいますが、拘縮期の組織に強い刺激を加えることは、かえって負担になる可能性があります。
③ 温度の感じ方
術後しばらくは、吸引した部位の感覚が鈍くなっていることがあります。熱さを感じにくい状態では、高温でも気づきにくく、皮膚に負担がかかる可能性があります。
施術を受ける際には、脂肪吸引後であることを必ず施術者へお伝えください。 医療機関ではない施設で施術を受ける場合もあるため、術後であることを共有したうえで、施術内容や出力を調整していただくことが大切です。
なお、インディバをはじめとする温熱・高周波ケアが、拘縮の改善を明確に早めることを示す十分な医学的根拠は、現時点では限られています。一方で、「楽になった」「硬さが和らいだように感じた」とお話しされる方もいらっしゃいます。
受けるかどうかは必須ではありません。ご希望や術後の経過に応じてご検討ください。特別なケアを行わず、自然な経過で回復される方も多くいらっしゃいます。
圧迫の継続について
圧迫は、腫れやむくみを抑え、皮膚と皮下組織がなじみやすい状態を保つためのものです。
最低1週間は24時間着用していただき、その後は通常2〜4週間、吸引量が多い場合には4週間程度が目安となります。経過によっては継続をご案内することがあります。
▶ 二の腕脂肪吸引の圧迫着はいつまで必要?着用期間・過ごし方・よくある疑問を医師が解説
完成後も残る場合
術後6か月を過ぎても凹凸が残る場合には、状態に応じて対応を検討します。
厚みが残っている部分がある場合には、追加の吸引で整えられることがあります。
凹んでいる部分では、周囲とのバランスを調整する追加吸引や、脂肪を注入して補う方法などが選択肢となります。
脂肪注入は当院でも対応は可能ですが、凹みの深さや範囲、周囲の皮膚の状態によって適応が異なります。
なお、当院ではMicroAireを使用した脂肪吸引について術後1年間の保証期間を設けており、仕上がりの凹凸についても、診察のうえ再施術の適応となるかを判断しています。判断を行うのは術後6か月以降です。手術日と比べて体重が増加していないこと、術後1年以内にお申し出いただくことが条件となります。
▶ 二の腕脂肪吸引で後悔するケースとは?失敗を防ぐポイントを解説
すぐに相談した方がよい凹凸・腫れ
術後早期の凹凸には、腫れや拘縮による一時的なものが含まれます。
ただし、次のような場合は、完成時期まで待たずにご相談ください。
- 片側だけが急に大きく腫れてきた
- 腫れている部分に強い痛み、赤み、熱感がある
- 液体がたまっているように感じる、波打つ感覚がある
- 圧迫着の縁に沿って深い溝や皮膚の色調変化がある
- 傷口から膿や悪臭のある液体が出る
- 凹みが急に深くなった
状態によっては、血腫や漿液腫、感染、圧迫による皮膚トラブルなどを確認する必要があります。
よくある質問
Q. 脂肪吸引をすると必ず凸凹になりますか?
必ずなるわけではありません。
術後1〜3か月は拘縮の影響で凹凸を感じやすい時期ですが、多くは時間の経過とともに改善します。完成後まで残る凹凸は、残した脂肪層の厚みが不均一な場合に生じます。
Q. 術後に触ると硬い部分と柔らかい部分があります。大丈夫でしょうか?
拘縮による経過であることがほとんどです。
脂肪を吸引した部位が修復される過程で、一時的に硬さのむらが生じます。術後1〜3か月ほど続きながら、徐々になじんでいきます。
Q. マッサージをすれば凹凸は改善しますか?
自己判断で強くマッサージを行うことはおすすめしていません。
拘縮による一時的な凹凸は、マッサージをしなくても改善していくことが多くみられます。一方、吸引が不均一なことによる凹凸は、マッサージで改善するものではありません。
Q. セルライトは脂肪吸引で治りますか?
改善するものではありません。
セルライトと呼ばれる表面の凹凸は、脂肪そのものではなく、皮下脂肪を区画している線維性の壁が皮膚を内側へ引っ張ることで生じています。
脂肪吸引で減らせるのは区画の中身であり、引っ張っている構造は残ります。そのため、脂肪が減った分、かえって陥凹が目立つようになることもあります。
Q. 凹凸ができた場合、修正できますか?
状態によって異なります。
厚みが残っている部分は、追加の吸引で整えられることがあります。
凹んでいる部分そのものをさらに吸引しても改善しませんが、周囲とのバランスを調整する追加吸引や、脂肪を注入して補う方法などが選択肢となります。
まずは完成を待ち、状態を確認したうえでご説明しています。
Q. 他院で受けて凹凸が残っています。相談できますか?
お受けしています。
ただし、一度手術を受けた部位は組織に瘢痕が生じているため、初回の手術より難易度が上がります。改善の見込みが乏しいと判断した場合には、その旨をお伝えしています。
Q. 吸引量が多いと凹凸になりやすいですか?
その傾向があります。
多く吸引するほど残る脂肪層が薄くなり、わずかな厚みの差が表面に出やすくなります。当院では、皮膚の状態に応じてその方にとっての吸引量の上限を判断しています。
Q. 細い人ほど凹凸になりにくいのでしょうか?
一概には言えません。
皮下脂肪が薄い方では、そもそも残せる層に余裕がないため、わずかな操作の差が表面に出やすくなります。脂肪の量だけでなく、皮膚の厚みやハリを含めて判断しています。
まとめ
二の腕は皮膚が薄く、曲面が連続しているため、脂肪吸引のなかでも凹凸が出やすい部位です。
ただし、術後に感じる凹凸の多くは、拘縮による一時的なものです。術後1〜3か月は硬さのむらが最も出やすい時期であり、完成の目安である3〜6か月に向けてなじんでいきます。
一方で、残した脂肪層の厚みが不均一な場合の凹凸は、時間が経っても改善しにくいという特徴があります。
だからこそ、凹凸は術後に治すものではなく、手術の設計と操作で避けるものだと考えています。皮膚のすぐ下の層を残すこと、複数の方向からカニューレを通すこと、辺縁で吸引量を段階的に減らすこと、そして取り過ぎないこと。これらはすべて、残す脂肪層の厚みを均一に保つための操作です。
細くすることと、表面をなめらかに保つことは、常に同じ方向を向いているわけではありません。どこで線を引くかを、あらかじめ共有しておく必要があります。
なめらかな仕上がりを重視される方へ
二の腕の脂肪吸引で大切なのは、どれだけ脂肪を取るかではなく、どの層をどれだけ均一に残すかです。
残した脂肪層の厚みの差は、そのまま皮膚の表面に現れます。二の腕は皮膚が薄いため、この差が隠れにくい部位です。
当院では、皮下脂肪の厚みと皮膚の状態を確認したうえで、その方にとって安全に残せる層の厚みを判断しています。適応がないと判断した場合には、その旨もお伝えしています。
「細くすること」だけではなく、「表面をなめらかに保つこと」まで考えたうえで、その方に合った治療方針を説明いたします。
二の腕についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
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TEL:082-298-0505
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穴井 元康
IANA CLINIC
院長
経歴
2015年 Centre Hospitalier Universitaire Grenoble Alpes(フランス)
2016年 Mackay Memorial Hospital(台湾)
2017年 産業医科大学医学部医学科 卒業
国立病院機構九州医療センター勤務
2019年 トヨタ自動車株式会社 専属産業医
2020年 東北大学病院、東北労災病院 整形外科勤務
2021年 都内整形外科クリニック院長
2023年 大手美容クリニック勤務
2025年 韓国 LaPrin Plastic Surgery Fellowship
2025年 IANA CLINIC開院
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